第五章 トリスタニアの休日
第六話 キス!?! キス?!?
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、顔を向けることなく応える。
「そうだ、ねずみの一匹で、アルビオン産のねずみだ。商人のふりをしてトリステインに潜み、情報をアルビオンに送っていたのだ」
「ふ〜ん、つまり間諜っていうわけね。なら、捕まえたからこれで終わりなの?」
「いや、違う」
ルイズと話しながらアニエスは男の頬を叩き、男を目覚めさせる。
「まだ親ねずみが残っている」
自分の今の状況を素早く把握した男は、焦ることなく見下ろしてくるアニエスを見上げた。そんな男にアニエスは手に持った紙を突きつける。
「これを見ると、貴様たちは劇場で接触していたようだな? 先程貴様に届いた手紙には、『明日例の場所で』と書かれていたが、それはこの見取り図の劇場で間違いないな」
アニエスが持つ紙には、建物の見取り図が描かれており、それには何箇所か印がつけられていた。
男は何も答えず、ただじっと黙ってアニエスを睨みつけている。
「答えぬか……まあ、それもいいだろう」
アニエスは男に凍りつくような冷笑を向けると、残ったもう一本の手で拳銃を男の額に突きつけた。
「三つ数えるうちに選べ。話すか死ぬか」
ガチリとアニエスが撃鉄を起こし、男の額に汗が滲む。
そんな男の様子にますます笑みを濃くしたアニエスは、横目でルイズを見やると、微かに震える声を男に掛けた。
「実は今、体調が優れなくてな……手が震えている……早めに決めてくれないと、数えきる前に撃ってしまいそうだ……」
ふるふると銃を持つ手が震えているのに気付いた男に対し、さらにアニエスは言葉を続ける。
「……割と真剣に切羽詰っているんだが……どうする……」
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