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剣の丘に花は咲く 
第五章 トリスタニアの休日
第六話 キス!?! キス?!? 
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「あの小姓、店を出たわよ。次はどうするの」

 ルイズの言葉に壁に手をつきながら立ち上がるアニエスだったが、その足は内股であり、ガクガクと激しく揺れている。
 口の周りにべたつくモノをのろのろとした仕草で拭き取ると、憮然とした表情で見上げてくるルイズを見た。

「お前は……そういう趣味を持っているのか」

 恐る恐ると恐怖に引きつった顔で聞いてくるアニエスにぷいと顔を逸らしたルイズは頬を膨らませた。

「別にそんなのはないわよ。……ただ、気付いたら覚えていたのよ」
「気付いたらって……どうしたらそんなことに……」
「そんなことどうでもいいでしょ。それよりどうするの? あの小姓を追いかけるの、それともあっちに行くの?」

 アニエスの言葉を無視すると、ルイズは小姓が出て来た部屋を指差す。
 何か言おうと口を開きかけたアニエスだったが、「そんなことで済ませられるものではないが」と小さく呟くも、ルイズが指差す部屋に向かって歩き始めた。

「部屋の方だが…………このドアを吹き飛ばせるか?」
「出来るわ」
「なら頼む」

 足音を立てないよう慎重に歩きドアの前に辿りついたアニエスは、ドアを指差しながら小声でルイズに聞く。ルイズも合わせるように小声で答え頷くと、太もものベルトに差していた杖を引き抜き、『エクスプローション』のルーンを一節口ずさむとドアへ向けて杖を振り下ろした。
 ドアが部屋に向かって吹き飛びと、同時にアニエスも部屋に飛び込む。慌ててルイズが部屋に入った時には、既にアニエスの仕事は終わっていた。

「随分と仕事が早いわね」

 ルイズが部屋の中に入ると、アニエスが商人のような身なりをしている男の手首に、腰につけた捕縛用の縄で縛り上げているところだった。アニエスはルイズに振り向くと、ベッドに突き刺さるドアの残骸を指差す。

「あれがこの男に当たったようでな。入った時には既に気絶していた」
「……そうなの」

 ルイズが頷くと、突然の爆発に驚いた客や店の従業員が集まり部屋を覗き込んできた。

「騒ぐな! 手配中のこそ泥を捕縛しただけだ! さっさと散れ!」

 威嚇するように大声を上げるアニエスに、とばっちりを恐れた客や従業員が直ぐに逃げ出した。
 それを確認したアニエスは、捕縛が完了した男から離れると、先程出て行った小姓がこの男に届けたのだろう手紙を見つけ、広げる。中を確認したアニエスは一つ頷くと、さらに部屋の机の中や倒れた男のポケットなどを探り出す。見付けた書類や手紙などを机に広げ一枚一枚確認したアニエスは、その内の一枚で目を止めると、倒れる男に向かって歩き出した。

「で、この男がねずみなの?」

 アニエスの背中に向けてルイズが声を掛けると、男の前で膝をつくアニエスが
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