暁 〜小説投稿サイト〜
剣の丘に花は咲く 
第五章 トリスタニアの休日
第六話 キス!?! キス?!? 
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が見つめる中、アンリエッタは口元を手で抑えながらゴクリとそれを飲み込む。
 ぺろりと濡れて光る赤い舌で口の周りを舐めると、目を細め笑い。

「ご馳走でした」

 小さく頭を下げた。
 
「お、お前……」
「これでお互い様ですね」
「お互い様って……」

 そう言ってもう一度士郎の唇に軽くキスをしたアンリエッタは、士郎の口の端にある残りを舌で舐めとると、固まる士郎を置いてベッドから抜け出した。
 ベッドを後ろにうんっと一度背を伸ばしたアンリエッタは、汚れた窓に顔を向け、雨が止んでいることを見ると、未だ石になっている士郎を横目で見やると、

「それでは、そろそろ行きましょうか」
「……何処にだ」

 のろのろと顔を上げる士郎に振り返ると、アンリエッタは手のひらで口元を隠しながら目を細める。

「ちょっとそこまで……狐狩りに」

 






 雨の勢いが弱まる頃には、ルイズへの説明は終わっていた。
 ルイズは雨が止んだ空を見上げながら、横にいるアニエスに声を掛ける。

「ねずみ捕りねぇ……で、そのねずみっていうのが、あそこにいるの?」
 



 アニエスから説明されたのは、王国の穀倉を荒らし、さらには主人の喉笛を咬み切ろうとするねずみを捕まえるとのことだけ。その後、ルイズと共にアニエスはリッシュモンの屋敷の傍に隠れ息を潜めていると、屋敷の中から年若い小姓が出て来た。その小姓をルイズを馬の後ろに乗せ追いかけ辿りついた先は、夜を明々と照らす歓楽街に辿りつく。馬を降りたアニエスは、顔を赤くしながら辺りを見回すルイズの手を引き、さらに奥まった路地へと消える小姓の後ろを追いかけ出す。
 そして辿りついた先にあったのは、どこにでもある酒場と宿が合わさった一件の店。
 アニエスと共にルイズが宿に入ると、二階へと続く階段を上がる小姓の後ろ姿を見付けた。マントを引っ張りながら二階を指差すと、アニエスは一つ頷き一階の酒場にいる酔っ払いを掻き分けだす。無事階段の踊り場に辿りついたアニエスは、小姓が入っていったドアを確認すると、ルイズに被せていたマントを脱がしだした。

「ちょ、ちょっと何やってんのよ!」
「いいから脱げ。脱いだら酒場の女のように私にしなだれかかるんだ」
「な、なによそれ」
「カモフラージュだ。いいからしろ」

 抵抗するルイズから力ずくでマントを引き剥がすと、ルイズを引き寄せる。

「このままでいろ」

 文句を言おうとしたルイズだったが、女とは思えない短髪と凛々しい顔立ちを持つアニエスを見上げ、小さく溜め息を吐いて気を取り直すと、大人しくアニエスにくっついていると、

「ちっ」

 追いかけていた小姓がドアから出て来た。小姓はこちらにはまだ気づいていない。ア
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