第五章 トリスタニアの休日
第六話 キス!?! キス?!?
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叩く音に交じり、騒がしく辺りを駆け回る音や、兵士の怒号が聞こえてくる。
「何よもううるさいわね。そんなに騒ぐなら店に来てチップを落としていってくれたらいいのに」
「……ちょっと行ってくる」
「ちょっとルイズ、濡れるわよ?」
「平気よ」
ルイズは羽扉を開け外に出ると、雨を手傘で遮りながら目に入った兵士に近づくと呼び止めた。
「そこのあなた、こちらに来なさい」
「はあ!? なんだ小娘。このクソ忙しい時に! 邪魔だ! さっさと離れろ!」
手を振りルイズを突き放そうとした兵士の前に、ルイズはアンリエッタのお墨付きの許可状を突きつけた。兵士の目に、否応なくルイズの突きつけた紙が入る。突きつけられる許可状を払いのけようとした兵士だが、その直前、女王のサインが目に入り、払いのけようとした手が凍りついた。ブルブルと震える手をゆっくりと下ろし、何度も目を擦りながら顔を近づける兵士。許可状とルイズの顔を何度も行き来させた兵士は、恐る恐るといった風にルイズを見下ろす。
「あ、あなた様は一体?」
「わたしは陛下の命で任務についている陛下の女官です。速やかにあなたが知ることを教えなさい」
「へ、へへへ陛下の女官っ?! しっ、失礼いたしましたぁッ!」
勢いよく頭を下げた兵士に近づくと、ルイズは兵士の頭をつかみあげると、無理矢理兵士の頭を持ち上げる。
「謝罪はいいから早く話しなさいっ!」
「は、ハッ! そ、それが」
兵士はルイズの小声で状況を話し始めた。
「シャン・ド・マルス練兵場の視察後、陛下の姿が消えてしまったのです」
「え……」
呆然と立ち尽くすルイズに対する兵士の説明はなおも続く。
「誰が、どのように陛下を攫ったのかは未だ不明です。馬車の中から、まるで煙のように消えてしまったそうです」
「……その時の警護は何処が?」
「新設の銃士隊と聞いております」
「そう……ところであなた馬を持ってる?」
「い、いえ……すみません」
申し訳なさそうに頭を下げる兵士に一言礼を言ったルイズは、一旦お店に戻ると、暇そうに机にのしかかっているジェシカに用事が出来たと伝え、呼び止めるジェシカの声を振り切り、ルイズは雨の中を駆け出していった。
「全くもう……こんな時にシロウは何処に行っているのよっ!」
高級住宅街の一角。その中でもことさら巨大な屋敷から出てくる人影が一つ。馬を連れた男から馬を受け取った影は、馬に背負われた鞍嚢からローブを取り出すと頭から被る。さらに中から新型の火打石式の銃を取り出すと懐に収め、屋敷から離れだした。雨に打たれ暫らく馬を引いていると、後ろを向き、闇に薄ぼんやりと浮かび上がる巨大な屋敷を見上げ、
「……っぁはは……間違い
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