第五章 トリスタニアの休日
第六話 キス!?! キス?!?
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ルイズたちがお店に戻った時、そこに士郎の姿はなかった。掃除や料理の準備は全て出来ていたことから、お店を開けることに問題はなかったのだが、先程から降り始めた雨により店の中に客の姿はない。
そんな中、客がいない店内でルイズとジェシカが向い合せで座って何やら話し込んでいた。
「シロウの馬鹿……どこに行ったのよ」
「ルイズは知らないの、シロウが何処に行ったか?」
「わからないわよ。わたしも知りたいくらいよ……」
「本当にどこに行ったのかなシロウ……まあ、お店の準備は全部終わってるし、料理の準備も出来てるけど……黙って出て行くなんてシロウらしくないっていうか」
頬杖をついて天井を見上げるジェシカに、ルイズも同じように頬杖をついた姿で声を掛けた。
「まあ、黙ってというわけじゃないみたいだけど……」
「何っ?! 何か知ってるのルイズ!」
ガタンッ! と音を立てながら立ち上がったジェシカが、机の上に身を乗り出しルイズに顔を近づける。
目の前に迫るジェシカの顔に手を当てると、ルイズはゆっくりと押し返す。
「急な用事が出来たってよ……下手したら二、三日は戻れないかもしれないって部屋に置き手紙があったわ」
「もうっ! そんなものがあるなら先に教えてよ……家の父さんに殺されたんじゃないかと心配して損しちゃった」
椅子にダラリと寄りかかりならが天井を仰ぐジェシカに、ルイズが不思議そうな顔を向ける。
「何でミ・マドモワゼルがシロウを殺すのよ?」
「だって、家の父さんめっちゃ怒ってたし」
「怒ってた? 何で?」
首を大きく傾げるルイズに、苦笑いを向けるジェシカは周りを見渡した後、ルイズの耳に顔を近づけた。
「バレてるのよ」
「バレてる? 何が?」
察しの悪いルイズに呆れながらも、ジェシカはもっと直接的な言葉を向けた。
「シロウとエッチしたのがバレてんのよ」
「なっ?! え、エッチって!! ちょ」
叫ぼうとするルイズの口を慌てて塞ぐと、ジェシカはキスするかのように顔を近づけた。
「し――っ! 声が大きい! 家の父さんは寛容だけど、ちょっとやり過ぎたみたいなのよ……あんたも自覚あるでしょ」
「自覚って……まあ……少しは……あるけど」
赤く膨れた頬を指先でつつきつつ、スカロンがいるだろう厨房に目を向けるジェシカにルイズは恨みまがしい目を向けた。
「あなたのせいでしょ、あなたがシロウを挑発するから」
「それはお互い様でしょ」
同じように頬を染めたジェシカがルイズを見下ろすと、互いの視線の間に雷が走り、
「「でも、一番シロウが悪い」」
声を揃えて文句を言うと、ふっと互いに笑みを浮かべた。
くすくすと互いに笑みを交わしていると、雨が地面を
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