第七十三話 【カンピオーネ編】
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身の内にあるオーラを噴出させ、防御力を上げる。
『堅』だ。
「ほう、なかなかの呪力のほとばしりよな」
アテナも油断無く大鎌を構える。
「息子に言わせると、大敵に出会って高揚するこの気持ちは分かりたくない物なのだそうだけれど、私は何度生まれ変わっても根っこの部分は武人なのよね。難敵に会っては自身の技が通じるか試したいと何処かで思っている」
「ほお、神の前に恐れずして掛かってくるか」
それが戦闘開始の合図であった。
両者は同時に地面を蹴って駆ける。
まず、最初に攻撃をしたのは振り幅の少ないユカリの方だった。
左に持った風竜刀で切りつける。
アテナはすかさず大鎌で受ける。
しかし、風竜刀の攻撃はこれで終わらない。
風竜刀によって切り裂かれた空気が鎌鼬となってアテナを襲う。
その鎌鼬はアテナを切り裂くはずだった。…しかし。
鎌鼬はアテナに当たる寸前にそよ風と成り吹き抜けた。
アテナは細い腕からは考え付かないような力でユカリの刀を打ち払った。
打ち払われ後ろに飛ばされたユカリはすぐに地面を蹴ってアテナに駆ける。
『御神流・虎乱』
ユカリが放った二連撃はやはりアテナに事も無げに打ち払われる。
行使したはずの風竜刀と水竜刀での風と水による斬撃は、アテナに届く頃にはどちらも唯のオーラに戻されていた。
「神や神殺しには呪力に対する耐性が有るゆえな、そのような攻撃は神たる妾には通じぬ」
「くっ…」
その問答のうちも何合も斬りあうユカリとアテナ。
互いの技量が高い事もあり、両者とも相手の体を切りつける事は敵わない。
もうしばらく打ち合えば防御の癖などを見抜き『貫』を使えるようになるかもしれないが、まだ相手の隙をつけるような癖を見出せない。
さらに呪力への耐性。
それはつまり、ツーヘッドドラゴンによる付加攻撃の一切が通じないかもしれないということだ。
もしかしたら使うエネルギーが一緒の忍術も通用しないのかもしれない。
アテナの攻撃が鋭さを増し、地上での不利を悟ったユカリは一度アテナの大鎌を大きく弾き上げ、その隙に距離を開けると地面を蹴り飛び上がる。
『フライヤーフィン』
レーヴェの援護でユカリの肩甲骨の辺りから下方に四枚の翅が現れ、その翅を自在に操りユカリは飛翔する。
「ほう、そなたには驚かされることばかりよな。魔女ですら空を自在に飛ぶ事はまかりならぬと言うのに」
そう言うアテナの背中から猛禽の羽が現れ地面を蹴ると彼女も飛翔した。
空に上がった両者の対決は第二ラウンドへと移行する。
アテナの背後に闇が広がり、そこから無数のフクロウが現れ、ユカリへと襲い掛かる。
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