第七十三話 【カンピオーネ編】
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草薙護堂はその、神を打ち倒し、カンピオーネになった人物であった。
とは言え、護堂はアテナに不意をつかれ打倒され、阻む物をなくしたアテナは終にゴルゴネイオンを得る。
本来ならばアテナはこの後に死よりよみがえったカンピオーネである草薙護堂との再戦により深手を負い、日本を去るはずだった…しかし…
「ふはは、ついに妾は三位一体である古の女神に戻った。この力を持てかの女を探し出し、再戦するのも一興よな」
アテナの目の前にはゴルゴネイオンを草薙護堂から託された媛巫女の少女、万里谷祐理がアテナの死の呪詛に耐え、護堂の権能の一つである「ピンチの仲間の呼ぶ声を聞きつけ風のように駆けつける能力」と言う何処のヒーローだという感じの力を駆使して離れた場所から呼んで貰う手はずだった。
しかし、物語は歪む。
坂上紫が存在するが故に。
アテナは虫けらの如き人間など眼中に無いかのごとく万里谷を無視し、次の目標であるユカリの探索におもむいたのである。
本来であればアテナのなんとも無い呟きに万里谷が胆力を奮い立たせ、護堂を呼ぶはずであった。
しかし、まつろわぬ神に直訴しようとしていた万里谷は目の前からアテナが去った事により脱力し、うずくまる。
護堂から託された役目を果たせなかった彼女だが、強大な女神を前に発言できなかった彼女を誰が責めようか。
そんな彼女に駆け寄る男性がある。
よれよれのスーツにぼさぼさの髪の毛をどうにか後ろで一本にくくりつけた無精ひげを生やした男性だ。
「甘粕さん…」
甘粕冬馬。
日本で起こった怪力乱心、神々や魔術師がらみの事件が起きたときに駆けつけ、解決に助力する正史編纂委員会のエージェントであった。
甘粕自身は国家公務員やサラリーマンみたいなものだと言っていそうだが…
「アテナは逃げてしまいましたね」
「はい…しかし、最後に彼女が呟いた言葉が気になります」
「なんと言ってましたか?」
「かの女を探し出し、再戦するのも一興…と」
男はそれを聞いても特別険しい表情をせず、少し困った表情を取っただけだった。
「つまりあの女神を打ち負かした女性がいるという事ですな。そんな事が出来るのは草薙さんと同じカンピオーネ以外居ないはずですが…現存する女性のカンピオーネは羅濠教主とアイーシャ夫人のみ…アイーシャ夫人は百年に及ぶ引き篭りの最中ですから残るは羅濠教主となるのでしょうが…」
なにやら甘粕は懐から携帯を取り出し、どこかへ電話をし始めた。
少ない情報では有るが、それを自分の上司に連絡し、指示を得るために。
こうしてアテナは夜の闇にフクロウを放ち、ユカリの捜索を始めたのだっ
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