第七十三話 【カンピオーネ編】
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るのが楽しくていい。
夕飯を作り終え、未来の息子に気持ちを馳せた時、いきなりブレーカーが落ちた。
ブレーカーが落ちるほど電気は使ってなかったはず。
闇に目が慣れるのを待って窓際に移動すると、あたり一面停電をしていた。
停電であるだけならばいい。
しかし、少し離れた所に見えるはずの国道はいつもならばひっきりなしに車が通り、そのヘッドライトで照らされているはずなのだが、奇妙なことにエンジン音すらしないのは一体どう言ったことだろうか?
いや、待て。
これと似たようなことを自分はついさっき経験したのではないか。
いつの間にか街を多数の…それこそムクドリか蝙蝠かと言うほどの勢いでフクロウが飛んでいる。
「アテナ…」
ユカリのその呟きに反応するかのように一斉にフクロウの視線がこちらに向いた。
や、ヤバイっ!
ガシャーンっ
一瞬後、窓ガラスを割り、大量のフクロウが家に侵入してきた。
「くっ…」
たまらず逃げ回り、玄関を突き破り外に出る。
外の方が危険とは分かっているが、家の中にいれば押しつぶされるだけだっただろう。
「ほう、そこにいたか」
その声にユカリが振り向くとそこには銀髪の女性が立っていた。
その外見は成長しているがどことなく夕方の少女の面影がある。
彼女が成長したらまさしく手前の女性になるのではないだろうか。
「アテナ…」
「そうだ。もう一度名乗ろう。妾はアテナ。三位一体の女神、まつろわぬアテナである」
◇
時は少しさかのぼる。
アテナはユカリを逃がした後、ゴルゴネイオンを探してさすらっていた。
途中、ゴルゴネイオンを持っていたと思われるカンピオーネ、草薙護堂に接触。
これを死の言霊を持って打ち破った。
カンピオーネ。
それは神殺しに成功したものに送る称号である。
アテナのような神話世界から現世へと現れた神の多くが神話のくびきから外れ勝手気ままに行動し、人類に数々の厄災を振りまいてきた。
魔術師や見識の深い人達はそんな彼らの事を「まつろわぬ神」と呼ぶ。
神話に従わない故に。
彼らはたとえ魔術師が束になったとしても打ち滅ぼす事はできない。
人類では対抗しえない彼らだが、ごく稀にいろんな偶然が重なり神を打倒してしまうものが現れる。
神を弑逆したものは神の権能の一部をその身に宿し、強大な呪力を身につける。
そんな神殺しに成功した者にも人類はその能力ゆえに対抗する事はできず、畏怖を持って魔術師達は頭を下げる。
彼らの呼び名は魔王や羅刹王、チャンピオンなど国により呼び方は多々あるが、一番広く知れ渡っているのはカンピオーネであろう。
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