第七十三話 【カンピオーネ編】
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ていないわ。あなたが何処かで誰かを殺そうと私の知ったことではない。だけど、私の豊かな夕食を邪魔する行為はしないでってお願いしているの」
「む、むう?」
全てに納得したわけではないだろうし、どこか反論の余地を探しているアテナの手を掴む。
「それじゃ、ウチに招待するわ。だって今日の晩御飯はまだなのだもの。私の願いはたった今から有効と言う事で」
そう言って強引にアテナを引きずり家へと帰る。
「何か違う気がするのだが…」
と言うアテナの抗議をユカリはガン無視する事に決めた。
「美味しいご飯をつくるからねー」
そう言うと封時結界を解き、バリアジャケットを破棄した。
一瞬で現実世界へと帰還し、辺りのビルなどの崩壊が嘘だったように街は喧騒に溢れている。
「む、むう…それにしても現実世界には一切の被害を出さぬか…これではどちらが神か分からぬよな」
家に着いたユカリは、フクロウに破壊の限りを尽くされた我が家に絶叫するまで後数分の事だった。
破壊の限りを尽くされた我が家を切り札である『クロックマスター』のカートリッジを使い修復し、出来ていたおかずに何品か足して夕ご飯にありつく。
夕食を食べ終わるとユカリはどうだった?と合い席しているアテナに問うた。
「ふむ、はじめて口にする故どう表現すれば良いのか分からぬが…」
「美味しかった?」
「む…まぁ、なかなかに美味であった」
と、少し照れたのかアテナの白磁のような頬にうっすらと朱がさした。
「うんうん。口にあってなによりだわ。余計な秀麗な言葉より美味しかったと言われる一言がうれしい」
「そう言うものなのか?」
「そう言うものよ」
とは言え、今夜のメニューは日本の一般家庭の夕飯と変わりない献立ではあったが、長年の研鑽がにじみ出るその料理は下手な料理研究家なんかは軽々と隔絶するほどのものだった。
「それでは妾は去るとしよう」
「うん?どこかに行くの?」
「そなたとの約定は夕飯を共にする事のみ故な」
「そうだったわね。それじゃあまた明日ね」
「む、そうであったな。では、また明日来るとしよう」
と、別れの挨拶をした後、アテナは思い出したかのように振り返った。
「そう言えばまだそなたの名を聞いていなかった。妾を打倒した最初の人間の名なのだ、覚えぬわけにも行くまい」
「ユカリよ。坂上紫」
「神に逆らう…か。名前の通りよな」
うん?と、ユカリはアテナの言った意味を考えたが良く分からなかった。
その言葉を最後にアテナは黒い霧となりていつの間にか忽然と姿を消していた。
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