第四十八話 暑くてもしっかりとその十一
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「そうしたところもあったのよ」
「何かそれが愛嬌に思えるけれどね」
「それでもよ」
伊藤博文もというのだ。
「完全無欠かっていうと」
「違ったのね」
「そうよ、この人は日本の歴史上屈指の偉人だけれど」
そう言っていい人物だがというのだ。
「人間だから」
「欠点もあったのね」
「そうよ、お母さんは西郷さんが好きだけれど」
西郷隆盛である。
「この人だってね」
「完璧じゃなかったのね」
「それを補っていたのがね」
西郷の至らない部分をだ。
「大久保さんだったのよ」
「あの人ね」
「勿論大久保さんもね」
西郷の幼馴染みでまさに二人で一つと言ってよかった彼もというのだ。
「欠点がね」
「あったのね」
「物凄く冷徹なイメージで」
大久保にはどうしても付き纏うものであろうか。
「怖い、厳しいってね」
「言われてるわねあの人は」
「けれどそんなところを西郷さんがね」
「補っていたのね」
「西郷さんは西郷さんで細かいところにこだわらない」
「大人物で」
「そこがいいところであったけれど」
それでもというのだ。
「それが裏返りみたいにね」
「大雑把な感じするわね、西郷さんって」
「だから大久保さんがよ」
「補ったのね」
「西郷さんのそうしたところをね」
そうだったというのだ。
「そうし合っていたのよ」
「それがあのお二人だったのね」
「そうよ」
まさにというのだ。
「あんな凄い人達でもよ」
「欠点があったのね」
「ええ、だからそうしたところもね」
人間のというのだ。
「ちゃんとね」
「わかっておくことね」
「そうよ、いいわね」
「そうしていくわね」
一華も頷いて答えた。
「私も」
「そういうことでね、それであんた今日はもう寝るの?」
母はここで聞いてきた。
「そうするの?」
「まだ早いから」
だからだとだ、一華は答えた。
「だからね」
「まだ寝ないのね」
「夏休みの宿題とね」
それと、というのだ。
「一学期の予習もね」
「するのね」
「そうしてね」
そのうえでというのだ。
「十二時までには寝るわ」
「そうするのね」
「アルバイトしてると」
海の家でのそれの話もした。
「やっぱり疲れるから」
「早く寝てなのね」
「そうしてね」
そのうえでというのだ。
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