第四十八話 暑くてもしっかりとその七
[8]前話 [2]次話
「絶対によ」
「全否定はしないことね」
「それがあんたの為にもなるから」
「いいところはちゃんと見るのね」
「どんな人でもね」
例え反面教師でもというのだ。
「いいわね」
「それじゃあね」
「例えばヒトラーやスターリンも」
悪名高き独裁者達もというのだ。
「物凄く仕事熱心だったのよ」
「そうだったの」
「毎日あまり寝ないでね」
ヒトラーは明け方まで仕事をして遅くとも九時には起こされてそのうえでまた仕事という日々でスターリンの睡眠時間は一日四時間程だったという。
「熱心にお仕事して読書もね」
「してたの」
「二人共かなりの読書家だったのよ」
このことも言うのだった。
「勤勉でもあったのよ」
「そうだったのね」
「努力はね」
ヒトラーもスターリンもというのだ。
「絶えずしていたのよ」
「お仕事をして」
「そしてね」
そのうえでというのだ。
「暇を見付けては読書もね」
「していたのね」
「ヒトラーはどんな難しい本も読破したし」
このことは彼の傍に長くいた将軍グーデリアンの回想録にある。
「ヒトラーは一日五百ページもよ」
「読んでいたのよ」
「それがノルマって言っていたのよ」
「毎日ずっと働きながらもなの」
「二人共読書もよ」
こちらもというのだ。
「していたのよ」
「凄く仕事と勉強熱心だったのね」
「そうよ、独裁者で沢山の人を殺しても」
戦争だけでなく粛清や弾圧でだ。
「それでもね」
「いい面もあったのね」
「そうよ、悪名高き独裁者でも」
そうした者達でもというのだ。
「いいところはね」
「あったから」
「そうしたところはね」
「お手本にしたらいいのね」
「流石に毎日四時間しか寝てなくてお仕事なんてね」
そうした生活はというのだ。
「そうはね」
「出来ないわね」
「けれどね」
それでもというのだ。
「誰でもいい面があることはね」
「覚えておくことですね」
「そうよ」
まさにというのだ。
「そうしてね」
「わかったわ」
「そういうことでね、逆に立派な人でも」
お手本にすべき人でもというのだ。
「欠点はね」
「あるのね」
「全否定も駄目だけれど」
このことは事実だがというのだ。
「全肯定もよ」
「駄目なのね」
「そちらもね」
「どっちも駄目なのね」
「そうよ」
こう娘に告げた。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ