第四十八話 暑くてもしっかりとその五
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「そこでよ」
「死んで終わりね」
「そうなっても皆悲しむどころか」
「死んで清々するなのね」
「そうよ、このまま転落してそうなって欲しいわ」
一華は心から言った。
「それで二度と人前に出ないで欲しいわ」
「相当嫌われてる子なのね」
「そこまで日頃の行いが悪いってことよ」
「人間の屑みたいなものね」
「屑じゃなくてそのものよ」
まさにというのだ。
「あいつは、しかし万引きで人生終わりなんてね」
「よくあることよ、そうした下らない犯罪起こしてね」
母はまた一華に話した。
「自分で人生を終わらせる人はね」
「いるのね」
「そうよ、そんな馬鹿な人はいるのよ」
「そうしたものなのね」
「人間ってのは簡単なことで人生が変わることもあるから」
母はリビングで扇風機にあたりだした娘に話した。
「覚えておいてね」
「簡単なことでなのね」
「いい方にも悪い方にもね」
「そうなのね」
「たまたま事故から逃れて助かったりしてね」
「ああ、それあれよね」
今の話を聞いてだ、一華は言った。
「俳優の金子信雄さん」
「あんた知ってるの」
「聞いたことあるわ、広島の子から」
「あっちが舞台の映画に出てたからね」
「仁義なき戦いよね」
「あのシリーズに出ていたのよ」
このことで有名だが他にも多くのヤクザ映画に出演し時代劇ではあの吉良上野介も演じた悪役スターである、テレビドラマでは味のある老人役そして料理番組では見事な包丁捌きを見せていたことでも知られている。
「組長さんの役でね」
「菅原文太さんと対していたのよね」
「物凄い役者さんだったのよ」
「それで飛行機に乗ろうとして」
「そう、直前で乗らないことになって」
急な事態が起こってだ。
「そうしたらその乗る筈だった飛行機がよ」
「事故に遭ったから」
「幸いね」
「無事だったのね」
「こうしたね」
「些細なことでなのね」
「人生変わるのよ」
そうなるというのだ。
「些細なことでね」
「そうなのね」
「そのことは覚えておいてね」
「わかったわ」
一華は母の言葉に頷いた。
「そのこともね」
「そうしてね、後さっきお話した子みたいにはならないことよ」
「悪いことばかりして誰からも嫌われて」
「死ねばいいとか言われるなんてね」
それこそというのだ。
「どうしようもないでしょ」
「最悪のことね」
「だからね」
それでというのだ。
「行いは日頃からよ」
「いいものであることね」
「ある程度でもね」
「悪いことばかりするなっていうのね」
「悪いことされた人は覚えているし」
それでというのだ。
「周りの人もね」
「悪いことしているのを見ているから」
「嫌われてね」
そうしてというのだ。
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