第二百六十八話 血流の如くその十一
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「これからもな」
「左様ですね」
「あと豚肉やが」
「絶対に火を通して」
「そしてな」
そのうえでというのだ。
「食べんとな」
「危険ですね」
「この世界でもそうした風習あるな」
「はい、チベットの方で」
白澤も答えた。
「お祭りの時にです」
「豚を食べてな」
「それも生で」
「そうした村あるな」
「あれはよくないですね」
「傷みやすいだけやなくてな」
豚肉はというのだ。
「それに加えてや」
「生のお魚と同じで」
「虫がおる」
寄生虫がというのだ。
「それがや」
「問題で」
「だからや」
その為にというのだ。
「豚を生で食べることはな」
「問題ですね」
「そや」
まさにというのだ。
「下手したら身体の内側のや」
「あらゆる部分に虫が巣食います」
「脚の中とかな」
「脳にもですね」
「よおさん入ってな」
「命にも関わりますね」
「そうなるさかいな」
だからだというのだ。
「豚を生で食べたらあかん」
「それをあの村にも伝えましたね」
「そんなんで身体壊しても馬鹿らしいやろ」
「はい、確かに」
白澤もその通りだと答えた。
「まして命を落としたら」
「それで寿命やったら終わりやしな」
「尚更ですね」
「虫には注意することや」
くれぐれもというのだ。
「そやから豚はよお火を通して」
「食べてもらいますね」
「そうしてもらう、しかしな」
ここで施はこうも言った。
「昔は今程調理技術も発達してなかった」
「この世界においてもですね」
「そやから火もな」
「今より弱かったですね」
「そやからな」
その為にというのだ。
「火を通す煮たり焼いたり揚げたり蒸したり」
「そうした調理を施すにもですね」
「今よりは徹底してへんかったからな」
「虫も殺しきれていなかった」
「そうやろな」
こう言うのだった。
「そやから今よりもな」
「虫にやられる人はいましたね」
「そやろ、実は昔の中国結構生ものも食べてた」
また起きた世界の話をしたがこの世界も同じである、料理は時代によってどんどん変わっていくのだ。
「端午の節句とかな」
「介子推さんのことですね」
「あの日は熱いもの口にせんな」
「ご母堂と共に焼け死んだあの人を偲び」
「それでや」
まさにその為にというのだ。
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