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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第九十話 孤立無援
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らだった。厄介な任務を引き受ける事になった。あの二人と話している時よりも一人の今の方がその困難さに溜息が出る……。

帝国を安定させるためには同盟との協力体制が必要……。対地球教だけでは協力体制の維持は難しいかもしれん。カードは多い方が良い、となると帝国が切れるカードは……。気になるか……、場合によってはもう一歩踏み込む必要が有るだろう。先ずはあの男が何を考えているかだが……、私にあの男の腹の内が何処まで読めるか……。また溜息が出た。



帝国暦 486年 9月18日    オーディン 新無憂宮   オットー・フォン・ブラウンシュバイク



「レムシャイド伯には苦労をかける事になるな。貧乏くじを引かせてしまった」
「そうだな、しかし公、我らほど酷いくじは引いていまい」
「確かにそうだな」
自分の事でなければ笑うことが出来ただろう。しかし笑う事の出来ない現実がここにある。

「問題はやはりヴァレンシュタインか……。あの男が何を考えているのか……」
「厄介な男を敵に回してしまったな」
「うむ」
なんとかこちらに引き寄せる事は出来ないものか……。或いは何らかの手段を構じて消す……。

こちらの手で殺す事に拘る必要は無い、反乱軍に殺させると言う手も有る……。こちらに寝返ろうとしている、そう思わせるだけでも不和を起こさせることは可能だろう。影響力を低下させられるはずだ……。考えているとリッテンハイム侯がわしの顔を覗き込むように見た。

「公、何を考えている?」
「うむ、いや、ヴァレンシュタインの両親だが遺体は墓から掘り起こされ打ち捨てられたと聞いた。回収は可能かな」
「さて、確認してみるか?」
「うむ、そうしてもらえるか」

先ずは両親の名誉回復、そこからだな……。その次は彼の財産の補償、及び返還か。……リメス男爵家を再興させ彼に後を継がせると言う手も有るな。いや、そういう噂を流すだけでも効果は有るはずだ。今回の地球教の件は人類全体の問題だ、それを提起した功を理由に……。

目の前のTV電話の受信ランプが点滅した。はて誰かな、受信すると目の前に福々しい顔をした男が現れた。
『内務省社会秩序維持局局長、ハイドリッヒ・ラングと言います。そちらにリッテンハイム侯はおいででしょうか』

顔に似合わぬ荘重な声だ。可笑しみを覚えつつ侯に視線を向けると侯も笑みを浮かべている。どうやらわしと同じ想いらしい。
「何用かな、ラング局長」

リッテンハイム侯が答えるとラングは恐縮した様な様子を見せた。
『御要談中の所、申し訳ありません。いささか奇妙な事態が判明しました』
「それは地球教に関してか」
『はい、地球教に関してです。恐れ入りますが早急に内務省にお戻り頂きたいのですが』

侯がわしを見た。
「ここ
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