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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第九十話 孤立無援
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言いましたな、喰えませんし強かですと……」
『喰えぬか……、強かとな……』
「はい」
“ウーム”とブラウンシュバイク公が唸っている。そしてチラリとリッテンハイム侯を見た。侯もそれを受けて大きな息を吐いた。
「これは私の得た感触ですが、ヴァレンシュタインはあの二人の事を詳しく知っていたのではないかと思います。何らかの繋がりも有るのでしょう。その一方で最高評議会議長の事は知らなかった。いえ、それだけでは有りません。どうも信用できない、頼りにならないと判断したのではないか私は考えています」
またブラウンシュバイク公が唸り声を上げた。大きく息を吐くとゆっくりとした口調で問い掛けてきた。
『つまり、格ではなく人物で選んだという事か』
「私にはそのように見えましたな」
ブラウンシュバイク公が三度唸り声を上げた。
「ヴァレンシュタインから聞いたのですが対地球教に関してはトリューニヒト国防委員長、シトレ元帥が責任者となるそうです」
ブラウンシュバイク公とリッテンハイム侯がまた顔を見合わせた。そして私に視線を向けた。厳しい視線だ、身が引き締まった。
『軍が全面に出るという事か……』
「そう言う事になりますな」
『地球、そしてフェザーンを敵と認識した、そう言う事だな、……敵か……』
呟く様な公の声だった。
『もう一つ気になる事が有る。トリューニヒト国防委員長だが主戦派と聞いている。私も公も彼は反帝国感情が強い人物なのではないかと懸念している。これからの協力に支障が出る危険は無いか、レムシャイド伯』
「その事ですが不思議に思った事が有ります。例の晴眼帝、亡命帝の話ですが同盟側の二人は興味深げに聞いておりましたな。単純な主戦派ではないか、或いは外と内が違うのかもしれません」
二人が考え込んでいる。はて、何に反応した? 外と内か、それとも……。
「同盟は帝国と違い選挙というもので政治家が選ばれます。平民達の支持を得なければ政治家に成れぬのです。その辺りも考慮しなければなりますまい」
『なるほど。我らとは国体が違うか……』
「はい」
公は何かを思うかのように頷いている。
『卿は当然だが彼らと、そして最高評議会議長とも会うはずだ。どういう人物か良く見極めて欲しい。それと同盟の平民達が何を考えるかもだ』
侯の言うとおりだ、同盟は帝国とは国体が違う。我々は政治家、軍人だけではなく同盟の平民達を注視しなければならない。つまり百三十億人を相手にする事になる……。一対百三十億か……、分の悪い戦いだ。
「承知しました。私からもお聞きしたい事が有ります」
『何かな』
「地球、フェザーンについてどの程度危険だとお考えですか」
私の問いかけに二人が顔を見合わせ、そしてリッテンハイム侯が口を開いた。
『極めて危険
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