第八十話 夏祭りが近付きその九
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「政治家としてはああで」
「有能でね」
「河豚のお話といい」
下関で出され店の親父が処罰を受けると言ったところ笑って許すどころか下関と博多で食べることを解禁したのだ。
「痛快よね」
「咲伊東さん好きなのね」
「憧れるわ」
実際にと答えた。
「女好きだけれどね」
「実は絶対に迫ったりしなかったのよ」
そうしたことは一切しなかったという。
「無名の芸者さん好きでね」
「人と揉めない様にそうしてたのよね」
「そうした人は誰のお妾さんでもなかったから」
当時芸者はそうであることが多かった、そうした時代であったのだ。
「敢えてよ」
「そうした人を選んでいたのよね」
「確かに女好きだったけれど」
このことは歴史的事実である。
「ちゃんと弁えていてスカウト上手で」
「誰とでも仲良くなれて」
「お母さんも伊東さん好きよ」
「面白過ぎる人よね」
「ええ、本当にね」
「それで伊東さんも誠実で」
その根はあくまでそうだった、痛快さと教養だけではない人物なのだ。
「人望があってね」
「信頼もされていたのね」
「ええ、あの頃の日本で特に誠実さを知られたのは」
その人物は誰かというと。
「やっぱり乃木希典さんね」
「乃木大将ね」
「誠実さが物凄く出ていたからこそ」
それ故にというのだ。
「明治帝も部下の兵隊さん達もね」
「敬愛していたのよね」
「軍人としても立派だったし」
列強ですらそうは陥落させられないと言われた旅順要塞を攻略し奉天会戦を勝利に導いたことは事実である。
「それで誠実だったからよ」
「信頼されていて」
「誰もが慕ったのよ」
「あの人もなのね」
「絶対に武器を持たない人に何かしなかったし」
その様なことは何があってもしない人物だった。
「部下の人達も大事にしたし」
「無能って言われていたけれど」
「無能じゃなかったわよ」
決してというのだ。
「だってちゃんと結果出してるじゃない」
「それはそうね」
「自衛官だったら最高の人よ」
現代ならばというのだ。
「本当にね」
「それだとなのね」
「軍人としてもね」
それこそというのだ。
「立派で物凄く誠実だから」
「信頼されていたのね」
「誰からもね」
「そんな人だったのね」
「咲もあんな人と一緒になれたら」
「幸せになれる?」
「きっとね、まあ最初は遊び人だったらしいけれど」
西南戦争で連隊旗を奪われてから遊興に耽っていた時期もあったという。
「それが行いをあらためて」
「真面目になったのね」
「遊び人だった頃から誠実さはあったと思うわ」
「根っこからそうした人だったの」
「そうよ、それで誰からも慕われていたから」
「信頼されていたのね」
「ええ、やっぱり
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