第八十話 夏祭りが近付きその八
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「嫌われるってそういうことなのね」
「本当に嫌われるっていうことはね」
「面と向かって言われないのね」
「そうよ、嫌いって堂々と言われたら」
本人に対してというのだ。
「つまりあんたその性格なおせってね」
「言われてることで」
「それを言われるうちはまだいいのよ」
「本当に嫌われると何も言われない」
「そうなるのよ」
「覚えておくわね」
「そうしてね、まあ咲は嫌われないわ」
娘にこうも言った。
「意地悪しないし我儘でも図々しくもないからね」
「だからなのね」
「人を利用するだけでもないでしょ」
「利用とかね」
そうした行為はというのだ。
「人をそうするだけって寂しいでしょ」
「お友達とかじゃないからよね」
「そう、持ちつ持たれつっていうじゃない」
母にこの言葉も出して話した。
「世の中ってね」
「その通りね」
「助けて助けられなのに」
「利用するだけだとね」
「寂しいわ、だからね」
それでというのだ。
「私人を利用するだけっていうのも」
「嫌なのね」
「そんなことしたことないし」
それにというのだ。
「これからもしたくないわ」
「それがいいわ、人を自分の為だけに利用する人もね」
そうした輩元もとだ、咲に話した。
「本当に嫌われるわよ」
「そうなるのね」
「ええ、どうせ普通に裏切るんだってね」
自分が何かあってもというのだ。
「そう思われてよ」
「本当に嫌われるのね」
「そうなるのよ」
「人は誠意を以てお付き合いする?」
「それが一番よ、よく政治の世界は言われるけれど」
「利用することもあるって」
「けれど一番成功するのはね」
その政治の世界でというのだ。
「根は誠実な人よ」
「そうした人が成功するのね」
「ええ、信頼されない人は」
それこそというのだ。
「政治の世界でもね」
「成功しないのね」
「何だかんだ言って田中角栄さんはそうした意味でもよ」
信頼されていた意味でもというのだ、尚この非常に個性的な人物を育てたのは吉田茂であった。彼の人を見る目がよくも悪くも見事な人物を引き上げたと言うべきか。
「よかったのよ」
「あの人も信頼されていたの」
「ざっくばらんで豪快で頭の回転が速かったけれど」
そうしたことに加えてというのだ。
「人情もあってね」
「信頼されていたのね」
「だから今も人気があるのよ」
そうだというのだ。
「伊藤博文さんだyて根は誠実だったし」
「何か痛快な人だけれどね」
咲が思う伊藤博文はというのだ。
「物凄い権勢持っていたのに飾らないでね」
「愛嬌があって、でしょ」
「ユーモアも教養もあって」
当代屈指の詩人としても知られていた、漢詩もある。
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