壱ノ巻
毒の粉
3
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知らぬかもしれないが、発は織田平脈様の第3子、織田三郎宗平殿の妻じゃ。わかるか?」
宗平様はもちろん知っている。なんてったって若君で時期織田の当主だもんね。正室には佐々家から高彬の姉の公子様がなっている。その縁もあり、高彬に目をとめた宗平様が重宝してるという話は聞いている。あの真面目〜な高彬は有能らしいのだ。
それにしても発だなんて、そんな名前聞いたこともないわよ?柴田家からとはいえ、宗平様のものの数にもはいらないような側室の一人ね。有名じゃないってことは宗平様が目をかけていないってことだもの。
「いいえ。私は教養なき身ゆえ、存じ上げません」
「で、あろうな。参河より来たとなれば、知らぬもまた道理」
柴田は勝手に一人でうんうんと頷いている。あたしのでっち上げ話、本当に信じてるし。
だいたい、ちゃんとした身分調査もしないで即興で雇うってどうなの。
何か狙いがあるみたいだけど…こうして渦中に飛び込んだからにはあたしも腹を決めてかからないと。
「この淡海国は、我らが主、織田家が治められておる。その本城が天地城。そこに我ら家臣は集う。現織田家の当主は平脈様であらせられる。そこはわかっておろうな?」
「はい。参河も同様でした」
「おぬしは参河では武家屋敷に勤めていたと言っていたか。ふむ。言葉や態度といい全く知がない訳ではないのか。でな、その平脈様が」
「お父様!私、もう帰らせていただいていいかしら。」
イライラした発の鋭い声が柴田の声を遮った。
「これ以上ここにいるのは時間の無駄だと思うのですけど」
そういって、さっと立ってさっさと出て行ってしまった。
なんだかなぁ…。癇癪持ちなのかしら。
そもそもどうしてあたしが呼ばれたんだろう?参河国から来たあたしにわざわざ淡海国講座?親切心からじゃないと思うんだけれどなぁ…。
「発は短気なのが玉にきずだのう」
いや短気なところだけじゃないと思うけど…。
「おぬしももう戻ってもよい」
はぁ!?結局あたしは何のために呼ばれたのよ!?
「僭越ながら大殿様。私はあの…何のために…」
「新しく入ったお前を発に目通りさせてやろうと思っただけだ」
「わざわざ私めなどのために…ありがとうございます」
「よい。さがれ」
「はい」
部屋に戻って考えてもわか
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