256 その結びは仮初か
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「え!?」
藤木は急に言われて緊張した。
「な、何の言葉も用意してないよ・・・!!」
「そんな焦る事でもない。今の気持ちを伝えれば良いのだ。一言だけでもよいぞ」
「は、はい・・・」
藤木は何て言えばいいのか解らないまま立ち上がった。
「あ、あの、僕は・・・、前の世界にいた時は、ひ・・・、卑怯だの、卑怯者とばっかり言われて辛かったです・・・」
藤木は言葉がつっかえながらも喋り続ける。
(藤木君・・・、そんな暗い事を・・・)
りえは藤木が暗い話を始めたので場違いではとも思った。
「でも、ここに来て、紂王さんや妲己さんに救われて、可愛い女の子達と遊べて、そして・・・」
藤木はまた数秒ほど黙った。
「夏休みに会ったこのりえちゃんとまた会えるなんて嬉しい・・・です!!だって、とっても可愛いし・・・、ピアノ、上手だし・・・!!」
そして藤木は赤面していた。
「何しろ、その、りえちゃんは乙女で、天使です・・・!!」
(天使・・・!?)
りえは夏休みに会った時も最初は幽霊と間違えられ、実際に姿を見られると藤木には天から舞い降りた天使と言われたものである。
「それでは安藤りえ嬢の番だよ」
妲己は告げた。りえは黙って立ち上がった。
「・・・」
りえは言葉が浮かばず、数秒黙ったままだった。
「何も言葉が浮かばないのかしら?」
妲己は尋ねた。
「・・・私は、まさか藤木君とこんな所で会うとは、意外です。ええと、藤木君と喜ばせるようにできたらと思います・・・」
りえはそう言って座った。だが、その言葉は勿論本心ではない。
(私は本当は杉山君がっ・・・!!でも、藤木君を何とか私達の方に引き戻さないとっ・・・!!)
「それでは本日はお越しいただきましてありがとうございました。今、敵の世界との戦いは続いてはいますが、この世界の勝利を祈りつつ、お二人の幸せがいつまでも続くように願います」
こうして式は終了した。
式が終わり、元の服に着替えた二人は紂王に告げられる。
「さて、婿殿に嫁殿、これからは夫婦なのだからこれからは一緒の部屋だ」
「ええっ!?」
りえは声が出てしまう。
「不服かね?」
「嫌なら別の部屋にしても良いぞ。その代わり、お嬢には地下の蔵で住んで貰って水も食べ物も与えずに飢え死にしてもらおう」
「うっ・・・!!」
「りえちゃん、僕は君とがいい!僕は今度こそ君を守りたいんだ!!」
「・・・分かったわよ」
りえは渋々従う事にした。二人が通された部屋は最上階に当たる五階の部屋だった。りえが監禁されていた部屋よりも広く二人部屋で、二人で寝れるような寝台、応接用の椅子と机、テレビにラジオといった今時の家具まで完備されていた。そして藤木からのプレゼントとされたピアノも既にその場に置いてあっ
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