暁 〜小説投稿サイト〜
おっちょこちょいのかよちゃん
256 その結びは仮初か
[2/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ンに手を貸した杉山を取り返そうと。
「はあ〜、あの泉、綺麗だったなあ〜、たまちゃんにも見せてあげたかったよお〜」
 かよ子はふとたまえやとし子など学校の友達を思い出した。
「うん、たまちゃん達、今どうしてるだろうね・・・?」

 こちらはかよ子達が元々いた生前の世界。たまえはこの日も親友のまる子の他、大野や杉山、かよ子などがいなくてがらんとした3年4組の教室にいた。
(はあ、寂しいな・・・)
 たまえはため息をした。と、同時にため息をした者がいた。
「え?」
 はまじもまたため息をついていたのだった。
「はまじも元気ないね」
「ああ、穂波もか?」
「うん、まるちゃんやかよちゃん、大野君や杉山君達がいない日が続いて寂しくて・・・。はまじも?」
「ああ、いつも隣にブー太郎がいたからな・・・。あいつもその異世界で頑張ってるのかなって思ってよ」
「そうだよね・・・」
「それにマラソン大会も近えしよ。あいつら休めて羨ましいよな」
(え、そこ・・・?)
 たまえは心の中ではまじにツッコミを入れた。

 結婚式は続く。そして次は食堂に移り、食事の時間としていた。藤木やりえは遊女達や来賓達と共に様々な料理を食べていた。りえは周囲の人物が皆敵と思うと全く落ち着かない。かといって今この場で異能の能力(ちから)を出しても返り討ちにされるだけと解っているのでただ紂王や妲己の命に従うしかなかった。
「りえちゃん、これ美味しいよ」
 藤木は寿司を皿に取って食べる。
「お寿司って僕んちじゃあまり食べなかったからなあ・・・。あ、これ豚の角煮だ。ここに来てから前にも食べた事があるぞ」
「へえ・・・」
 りえは黙ってそのまま食べ続ける。藤木は食事を楽しんでいる様子だった。だが、りえは杉山の方を見る。
(杉山君・・・、アンタはここで本当に私と藤木君を結婚させるつもりなのっ・・・!?でも私はアンタ達と違って『そっち側』に寝返る気はないからねっ・・・!!)
 そして食事が終わり、デザートが運ばれる。ゼリーやケーキが運ばれた。
「うわあ!」
 特にケーキは上品にも二段重ねとなっている白い生クリームのショートケーキだった。
「それでは今の世の祝言で大事な儀式とされるものを行います。新郎新婦はこの『けーき』というお菓子に『ないふ』という短刀で入刀を行うと聞きます。それではお二方、こちらをどうぞ」
 藤木とりえは一本のナイフを遊女から渡された。
「りえちゃん、一緒に持って切ろうよ」
「え、ええ・・・」
 そして二人はケーキを入刀した。
「お二人が永遠に結ばれる事を祈りましょう」
 杉山は思う。
(あいつ、やっぱり乙女だな・・・)
 そして暫くの休憩が入り、式を行った会場へと戻った。
「それでは新郎新婦からのお言葉をお願い致します」

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ