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おっちょこちょいのかよちゃん
256 その結びは仮初か
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 藤木とりえの結婚式は続く。
「それでは来賓達に賛辞の言葉を頂こう」
 紂王が進行を担う。まず一人の男が立ち上がる。
「それでは私から行こう」
 一人の男が立ち上がった。
「私はチンギス。私も愛する妻・ボルテとは『向こうの世界』から愛を誓い合ってきた。その二人の者も私と妻のように愛し合って欲しいものである」
(愛し合えるなんてバカバカしいっ・・・。私は本当はっ・・・!!)
 りえはふとレーニンの方を見る。
(す、杉山君っ・・・!!)
 しかし、敵側に寝返った男子の事を今は本気で好きになれるのかとりえは思った。また別の人間が立ち上がる。
「我が名は(せい)。まさか杯の所有者がこの小童(こわっぱ)と結ばれるとはな。これで杯は此方の世界の物となる上に新たな戦力になる事を祈ろう」
 また別の男が立ち上がる。
「私は煬帝(ようだい)。貴様らの結びはこの世界の繁栄の一種になる事を願おう。永久(とわ)の愛を誓うが良い」
(馬鹿馬鹿しいっ・・・!!)
 りえは聞いているだけで反吐が出そうな気分だった。
「私はエルデナンド。この度は結婚をおめでたく申し上げよう。剣は取られたにしても折角杯がこちらの物になったのだ。そしてこの世界で祝言が見られるとは気持ちがいい」
 エルデナンドは座る。次々と来賓の挨拶が来る。そして最後に・・・。
「私はこの世界の長・レーニンだ。この度は私も招待し、そしてこのような最高の祝言になった事を感謝致す。そして今私に力を貸しているこの少年も挨拶がしたいという」
 そしてレーニンの姿が変わる。
「す、杉山君っ・・・!!」
「杉山君・・・?」
 りえも藤木も戦争を正義とする世界の長の変化に改めて驚く。
「お前ら、また会えて良かったな。ここでの生活を楽しむんだな。藤木、俺はお前が無事でよかったぜ。りえ、お前も乙女らしい服で似合ってるじゃねえか」
「杉山君っ・・・」
 りえは一瞬、杉山の誉め言葉に照れた。しかし、どうしても心の底から嬉しいとは思えない。
「あ、ありがとう・・・!!」
 一方、藤木は何の疑いもなく杉山に礼をした。
「それでは来賓の皆様、ご賛辞の言葉ありがとうございます。それでは食事とい致しましょう。食堂の方へ宜しくお願い致します」
 皆は進行係の遊女の言葉で食事の場所へと移る。

 かよ子達は本来の目的に戻る為に羽根を東の方へ飛ばす。
「はて、儂らはこれからどうするんじゃっけ?」
 友蔵はもう本来の目的をすっかり忘れていた。
「おじいちゃん、アタシ達は藤木を取り返しに行くんだよ・・・」
「おお、そうじゃった、レッツゴーじゃ!」
「もう進めてるよ・・・」
 かよ子は力なくツッコミを入れた。
(兎に角、この杖は強くなれたんだ・・・!!)
 かよ子は思う。藤木を連れ帰し、レーニ
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