255 戦の中の祝言
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した」
「ここか」
「これはレーニン様」
遊女はお辞儀をした。別の男が入ってきた。
「ほう、レーニン、お主も参加して悠長だな」
「煬帝か。貴様も呼ばれていたのか」
「ああ」
そして会場に入った。
「では私はあの少年の所へ向かわせていただこう」
紂王はその場を離れた。
そして紂王の屋敷の大広間。進行の遊女が壇上に立つ。
「皆様、お越し頂きありがとうございます。それでは新郎新婦の結びをお楽しみください。新たなお嫁さんとお婿さんのご入場です!」
花婿と花嫁が入る。花婿は藤木、花嫁はりえだった。藤木は紂王に、りえは妲己に連れられて入場した。藤木はいろいろな人物の見世物になる事に緊張が解けなかったが、りえと一緒になれる事にニヤけてもいた。一方のりえは全く落ち着かなかった。りえは周囲を見る。結婚式というのはこんなにも来賓が来るものとは解ってはいた。だがその場にいる来賓は屋敷の遊女や衛兵だけではない。戦争を正義とする世界の人間がこんなにもいる。そしてこんなに敵はいるのだとりえは改めて思った。
(あれはっ・・・!!)
りえは一人の男に目を付けた。そこには嘗て自分の杯を狙って現れた事のあるエルデナンドだった。
(あいつが来てるって事は、私の杯が取られた事を知ってるのっ・・・!?)
他にもりえは恐ろしそうな人間を見回す。そしてその場にはあのレーニンもいた。
(す、杉山君っ・・・!アンタはっ、本っ当にっ・・・!!最低っ・・・!!何なのよっ、こんな事させて・・・!!)
「お似合いなお二人ですね。それでは結びの誓いとして祝いの酒をお飲みください!」
二人の元に枡入りの酒が運ばれた。
「ええ!?ぼ、僕、お酒、飲めないよ!!」
藤木は戸惑った。
「大丈夫だ、これは偽物だ。少年のような童でも飲めるものだ」
「う、うん・・・」
藤木は枡を手に取り、飲む。桃の味がした。おそらく桃のジュースだったと藤木は思った。しかし、りえは全く手を出していなかった。
「りえちゃん、飲まないのかい?」
「・・・」
りえは黙って枡の酒を飲んだ。
「では、この結びの暁として婿から嫁への素敵な贈り物を用意された。持ってきておくれ」
妲己は手を叩いて四人の兵に用意させた。
「え、贈り物?僕は何も用意してないよ・・・」
藤木は戸惑った。
「何を言っている。前に会食した時にお嬢に楽器を弾いてほしいと申していたではないか?坊やの願いを叶える為にもこちらで用意しておいたわよ」
「え・・・!?」
そして戸が開いた。それはアップライトピアノだった。
「これは新郎から新婦への贈り物だ」
「こ、これをっ・・・!?」
りえはその場にピアノが用意された事に驚いた。
「りえちゃん、これでいつでもピアノが弾けるよ
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