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冥王来訪
第二部 1978年
影の政府
魔都ニューヨーク その3
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に、御剣公と行って欲しい」
顔色が赤い所を見ると、いくぶん怒気を帯びていて、
「俺の暗殺未遂の件で、明日から始まる国連総会が危なくなったのか」
「そうだ」
「俺は、そこまで首を突っ込む理由があるか」
何か、マサキについて、腹をたてて来たものらしい。
「俺も、その事を説明した。ところが御剣公は笑っておられた。
君が信頼した木原という男は、女にはだらしがないと。
そして、パレオロゴス作戦の支援を取り持ったことも、また、せっかくの殿下のご意向も仇になった。
日本の為に、西ドイツに送ったのに、東ドイツの女に惑わされた。これでは逆になった……。
と、しきりなお悔やみなさっていた」
マサキの瞳に、ちらと懐疑(かいぎ)の色が浮かぶ。
「何を……」
「アイリスディーナという少女と、離れがたい心もあるには違いない。
純真な彼女の愛にひかれ、心弱くなったと」
其処まで馬鹿にされていては、黙っていられない。マサキの意地である。
「この俺が、女色(にょしょく)に溺れているだと。よし、御剣の望む様にしてやろうではないか。
美久、鎧衣、俺はホワイトハウスに乗り込むぞ。準備しろ」
マサキは、病衣から軍服へ、美久に着替えさせると、間もなくヘリが待ち構えた屋上に向かった。

 マサキ達は、綾峰に連れられ、海兵隊のヘリで2時間ほどかけ、ワシントンに向かった。
ホワイトハウスに着くなり、シークレットサービスの身体検査を受け、大広間に入る。
そこには別なヘリで来た御剣と紅蓮(ぐれん)。そのほかに見慣れぬ日本人の護衛が一人ついていた。
 大広間には、すでに七旬(しちじゅん)を超え、鬢髪(びんぱつ)も白くも、矍鑠(かくしゃく)とした偉丈夫が待ち構えていた。
彩峰は、鷹揚(おうよう)に敬礼をし、マサキ達も続いた。
男は敬礼を返すと、御剣の傍により、
「今度の協力には感謝しているよ。御剣公」と、右手を差し出し、言って来た。
御剣は感に堪えない面持ちで、頭を下げ、
「光栄です。大統領閣下(ミスタープレジデント)」と、握手した。
そして、彩峰はマサキ達の方を向いて、右手を広げ、
「ご紹介いたします。こちらがゼオライマーの操縦士(パイロット)副操縦士(サブパイロット)です」
敬礼していた右手を下げると、
「紹介にあった木原マサキだ。挨拶は抜きにして本題に入ろう」

 大統領が、椅子に腰かけると、そのまま質疑応答が始まった。
「どうだろう。引き受けてもらえるか。FBIもCIAも協力を惜しまない。
更に君の方から条件があれば、聞かせてもらおう」
  
 護衛からBETA教団の本部と、その指導者(マスター)の顔写真をもらったマサキ。
不敵の笑みを浮かべ、食指を立てた右手を差し出し、
「まず、俺に新兵器開発にかませろ。
ロスアラモスでも
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