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冥王来訪
第二部 1978年
影の政府
魔都ニューヨーク その3
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思う」と、マサキに頼る事を明かした。
 その場に、衝撃が走った。
副大統領はじめ、みな凍り付いた表情である。
「ゼオライマーを使って、BETA教団を潰そうと思う。
パイロットの木原は、KGBと戦って勝った男だ。彼なら何でもできる。
BETA教団に、国連本部を襲われる前に先手を打つ」
室中、氷のようにしんとなったところで、大統領は、
「現在ニューヨークに居る、御剣公に橋渡しを頼んだのだよ。
木原をホワイトハウスに呼んで、BETA教団抹殺を依頼する。
その上で、警備を万全にし、まずは国連総会を無事に終わらせる」

さて、同じ頃、マサキは、救急車で、近くの大型私立病院に運ばれた。
防弾チョッキを着ていても、銃撃の衝撃までは防げない。
内蔵の損傷や、ろっ骨などの骨折を調べるために駆け込んだのだ。  
 数時間の検査を終えた所、辺りはすっかり暗くなっていた。
幸い、軽い内出血と転倒時の打撲で済んだ事に安堵していると、トレンチコート姿の男が現れた。
 
 ベットに横たわるマサキは、枕元に立つ男の方に顔を向け、
「なあ、鎧衣。あれは本当にKGBか。暗殺のプロとは思えぬ稚拙な犯行だ」と訊ねると、
「ふむ。君が撃たれた弾丸は9mmパラベラム弾だ。
それに、鉄芯製のトカレフ弾だったら、とっくに防弾チョッキを抜けている」
「ソ連ではないと。じゃあ、誰が何の目的で……」
美久に手を引っ張られて、起き上がり、
「今回の拳銃は、トゥーラ兵器工廠純正のトカレフじゃない。
ソ連の拳銃弾、小銃弾は、帝政時代より7.62ミリだ。
現場近くに捨ててあった拳銃は、9ミリパラベラム弾の弾丸仕様。
トゥーラ兵器工廠純正を示す、遊底のスライドに記されたキリル文字がない。
製造番号が削られていたし、ソ連製拳銃にはない、安全装置が追加された。
以上の点を見ると、間違くハンガリーか、ユーゴスラビア製のコピー品。
それに、安全装置付きと言う事は、対米輸出用だ。そうすると……」
「米国内に拠点を置く過激派か。しかもソ連の所為にしたがっていると」
「私が教えられるのはここまでだ。後は詳しい話はFBIが相談に来るだろう」
「捜査じゃなくてか」
「御剣公は、外交特権を持っておられる。故にFBIもCIAも捜査権が及ばない。
それに私たちは彼の庇護下にある。だから相談しか出来ぬのだよ」

 近くでヘリコプターの音がすると、間もなく廊下をかける足音が聞こえる。
「何、寝ているだと。それなら、起こせ。通さんなら通るまでだぞ」
と、看護婦と護衛に来ていたニューヨーク市警の警官を叱りつける者が在った。
 彩峰(あやみね)大尉だった。
看護婦の取次よりも早く病室に入るなり、椅子に腰かけ、
「彩峰か。しかしこんな夜中になんだ」
「早速だがホワイトハウス
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