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冥王来訪
第二部 1978年
影の政府
魔都ニューヨーク その3
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総会の警備に関し、緊急会合が開かれていた。
FBI長官は、上座の大統領に向かって、
「現在国連総会でのテロが懸念されます。その危険性があるのは、恭順派と称する団体です。
西海岸、ロサンゼルスに拠点を持っており、俗にいうBETA教団と呼ばれております」
「BETA教団?なんだそれは。奴等の目的は……」
大統領の言葉が終わらぬ内に、CIA長官が重ねる様にして、
「BETAの襲来は、神の意志によるもので、人類はそれを受け入れろと、公言してやまない団体です。
そんな彼等は、今回の国連総会で、パレオロゴス作戦に関わった人間を殺す可能性が非常に大きいのです」
「パレオロゴス作戦に関わった人間を殺して、奴等は何を得ようとしているのだ」
「組織の売名と、対BETA戦において米国による介入の一切拒否するという姿勢表明する為でしょう。
また、KGBを騙って米国内で騒擾事件を起こし、米ソ戦争を開始させるとも聞き及んでいます。
今回の木原の襲撃事件は、その一環でしょう」

 嚇怒した大統領は、両腕を組み、机を叩きならしながら
「そんなにまでして、米ソを戦わせたいのかね。要は自分たちの過激思想を広めたいだけではないか」
と、檄色を隠さない様を見て、FBI長官は、(なだ)めようと、
「FBIとしましては、只今総力を挙げて彼等の動向を探っています。
今週末までには、かなりの線まで洗い出せるでしょう」と答えた。
憤懣やる方無い大統領は、
「遅い。それでは火曜日の国連総会まで間に合わないではないか」
と、嘆くも、大統領は、全米最大規模を誇るニューヨーク市警本部長に、
「では、本部長、警備の人員は、どれ程出せるのかね」と訊ねた。
「お答えいたします。市警全職員8万人の内から、2万の警官と500名の機動隊員。
そして、本部より100名からなる緊急出動隊(スワット)が加わる予定です」
追従する様にFBI長官も、
「FBIとしても、本部直轄の人質救出隊を編成して、1000名の人員と100台の武装ヘリを準備いたします」
彼等に重ねる様にして、国家安全保障問題担当大統領補佐官が、
「さらに沿岸警備隊とシークレットサービスにも出動準備をかけました」と、言い切った。

「それでもだ。
国連総会に来る要人の家族などは警備のしようがない。何処で誘拐されるか分からん。
仮に一人でも誘拐されれば、この合衆国の国威は地に落ちる。
万全の配備をしても、守り切れるものではない。そうなってからでは遅いのだ」
大統領が、その様に理由を述べると、副大統領もまた、
「しかし閣下、FBIでもCIAでも出来ぬ仕事をこなすものなど、この世に居りましょうか」
と、その心にある不安を、一応あきらかにした。

藁を掴む気持ちで、大統領は、
「ゼオライマーを使おうと
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