第六十三話 クロプシュトック事件 T
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クロプシュトック侯の屋敷に向けて出発した。同様に宇宙港とクロプシュトック侯爵邸までの主要幹線にて警察が非常線が引き、検問が行われる運びになっている。
「三、二、一、起爆!」
使用人達がカウントと共に爆弾を起爆した。爆弾など見るのも珍しいのだろう、屋敷内に避難した来賓達から歓声が上がる…一歩間違えば自分達が死んでいた、という事はもうどうでもいい様だ。
爆弾は秘蔵の名画とやらの額の内部に仕込まれていた。どうやら軍用のプラスチック爆弾だったらしい。量に比して爆発の威力が大きい事がその事実を裏付けていた。
「さあ、連絡しろ」
アンスバッハ准将に急き立てられて、捕縛された運搬作業員が携帯端末を操作しているのが見える…クロプシュトック侯の件はこれで終わりだろう。いや、終わりではないだろうが、この騒動のせいで霞んでしまったあの書簡の方が俺にとっては重大事だ。ブラウンシュヴァイク公は何故此処に、そして誰が送って来たか、それが問題だ、と言っていた。ベーネミュンデ侯爵夫人が姉上の事を嫌っているのは宮中でも知らない者はいない程の話だ。それをわざわざ害意があるなどという手紙を送りつけて来た、というのは、明白な殺意の様なものが働いているに違いない。そしてそれを知る事の出来る人間となると、宮中ではなく直接侯爵夫人に仕えている者ではないのか…通用口から参謀長がこちらに来るのが見える。また何かあったのだろうか…。
「伯から先に艦隊に戻っていてよい、との事だ。戻ろうか」
「はっ。アントン閣下達は…」
「つい先程、先に戻ったよ。まあここに居ても、もう我々に手伝える事はないからな。伯はブラウンシュヴァイク公とまだ話があるようだ。行こうか」
キルヒアイスに声を掛け、地上車に乗り込む……誰が書簡を送って来たか、調べてみる必要がありそうだ。しかし、どうやって調べたものか…。
5月23日20:30
銀河帝国、オーディン、軍宇宙港、ヒルデスハイム艦隊泊地、旗艦ノイエンドルフ、艦隊司令部
ラインハルト・フォン・ミューゼル
ノイエンドルフに戻ると、ブラウンシュヴァイク公爵家のフェルナー大尉から連絡があった、と舷門の当番兵が教えてくれた。折り返し連絡が欲しいという。艦隊の業務ではないだろう、自室から電話をする事にした。
“もしもし…ああ、ミューゼル大佐、フェルナーであります。先程はどうも”
「連絡を貰った、と聞いた。先程の件に関する事かな?」
“それもあります。興味がお有りではありませんか?”
「…そうだな。何か分かったのか?」
“出来れば直接お会いしてお話が出来たら、と思うのですが…大佐はこの後ご予定はお有りですか”
「いや、司令官の帰りを此処で待つだけだが…司令官はまだそちらにいらっしゃるのだろう?」
“ああ、本日はこちらにお泊まりになられるとの事
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