第二百六十六話 決戦を選択その十
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「ああなったらな」
「もう人やないです」
「そんな奴と普通の人を比べるとな」
「あきませんね」
「普通に人を食う奴なんてな」
「化けものです」
「それは何時でも何処でも同じや」
羅は言い切った。
「そやからな」
「人はですね」
「絶対に食うもんやないわ」
「どの国でもそうした考えです」
「普通はな」
だからだというのだ。
「せんわ」
「そうですね」
「人は人を食うもんやない」
羅は強い声でまた言った。
「種族が違ってもな」
「この世界での絶対のルールの一つですね」
屈もそれはと言った。
「殺人以上にです」
「やったらあかんことや」
「そうですね」
「ところが餓えてるとな」
飢餓状態であるならだ。
「人は死にそうな位そうなってるとや」
「狂ってしまい」
「それで時としてな」
「そうした行為に及んでしまいますね」
「好んで襲って殺して食う奴はキチガイの中のキチガイや」
羅はハールマン等に代表されるそうした輩をこう表現した、中にはこうした異常犯罪者も存在するのが人の世なのだ。
「ジル=ド=レイとかバートリー=エリザベートもそやったらが」
「その二人実は信憑性疑わしいそうですね」
屈はそれはと述べた。
「何でも」
「政敵の吹聴でな」
「そうも言われてますが」
「まあそうしたことをしていてもな」
快楽殺人に溺れていたとしてもというのだ。
「けどな」
「それでもですね」
「何百人も殺したとなるとな」
「幾ら大貴族といっても」
「ちょっとな」
それはというのだ。
「中国でも王継勲みたのおったが」
「宋の頃に」
「ああいう奴でもや」
「何百人となりますと」
「疑わしい、張献忠ですらな」
中国の歴史上でも最悪と言われる虐殺者だ、明代末期四川省で三百万以上を殺して省の人口を一万六千程まで減らしたという。
「言われてる通りに殺したか」
「まずないですね」
「核兵器でも使わんとな」
「あそこまで殺せへんですね」
「子供や年頃の女の子攫わせたり引き込んでな」
そうしてというのだ。
「殺して何百人、何十人でも相当や」
「疑問が残るところですね」
「そう思うわ、まあこの連中も言われてること十分の一でもな」
「充分過ぎる程ですか」
「ああ、それで人を食うこともな」
「同じですね」
「そや、それはないわ」
こう言うのあった。
「その為にですね」
「正直餓えが極まってるとな」
それならというのだ。
「中々処罰しにくいが」
「極限状態でしかも狂気に陥ってのことやと」
郁もそれはと述べた。
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