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イベリス
第八十話 夏祭りが近付きその二

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「浴衣の時下着オッケーだから」
「その上に半ズボン穿くのね」
「そうしたらライン透けないからね」
 下着のそれがというのだ。
「いいわよ」
「あのラインが問題よね」
「結構あるでしょ、生地が薄くてね」
「身体にぴっしりしてるとね」
「ラインがね」
「出るわよね」
「それで街歩いてる人いたりね」
 愛はその声を苦笑いのものにさせて話した。
「テレビでもタレントさんでね」
「そうなってる人がいるわね」
「ドラマでもね」
「あるのよね、スカートでも」
「浴衣はそうなりやすいから」
 だからだというのだ。
「下着は穿かないって言われてたけど」
「半ズボン穿いたらいいわね」
「若しくはね」
 愛は笑って一呼吸置いて咲に話した。
「ティーバックよ」
「あれ?」
「そう、ティーバックだったらね」
「あっ、お尻にあるから」
「もうラインがね」
 今問題にしているこれがというのだ。
「見えないわよ」
「ティーバックだと」
「そうよ」
「そうなのね、けれどね」
「咲ちゃん持ってないしね」
 咲にこうも言った。
「そうした下着は」
「抵抗もあるわ」
「そうでしょ、私も持ってないし」
「お互いティーバックはね」
「ないわね」
 二人でやや苦笑いで話した、そして。
 そこでだ、愛はまた咲に言った。
「だからね」
「ここは半ズボン穿くのね」
「それ用のショーツもあるらしいけれどね」
「浴衣用の?」
「そう、その半ズボンタイプのね」
 まさにそうした形のというのだ。
「ショーツもあるらしいのよ」
「そうなのね」
「やっぱり下着は着けないとね」
「夏でも冷えるしね」
「それに服が汚れるでしょ」
「そうそう、着けないとね」
 咲はそれこそと答えた。
「冷えるだけじゃなくてね」
「昔の女の人も下着は着けてたのよ」
「昔って着物着てた頃ね」
「江戸時代とかね、褌だったり」
「女の人も褌だったのね」
「昔はね」 
 愛は咲に少し神妙な顔になって話した。
「それで湯文字とか腰巻とか」
「ああ、ああしたのね」
「襦袢だってね」
 この服もというのだ。
「下着よ」
「女の人も着けてたのね」
「ちゃんとね」
「着物は着けないんじゃないのね」
「それがちゃんと着けるから」
 それがというのだ。
「冷えない為にもね」
「それで汚れない為にも」
「そうしてたのよ」
「それで今も浴衣でも」
「そうしてね」
「上から半ズボン穿いたり浴衣用のショーツ穿いたり」
「それでティーバックもね」
 愛はまたこの下着のことを嗤って話した。
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