明晰夢
[6/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
火花が散り、力に秀でたウィザードが倒れ込む。
さらに、二発目。傾いていくウィザードの体へ、逆方向から美奈都の斬撃が襲う。
三発目、四発目。次々と襲い掛かる斬撃に、ウィザードは踊らせるように体を流すことしかできなかった。
そして、最後の一発。美奈都が、全身に力を込めて放つ突き技。
だが。
「見切ったっ!」
最後の一撃。
ウィザードはウィザーソードガンを、その一点に立たせる。
美奈都の最大の一撃。だがそれは、腕をもぎ取られそうな衝撃を代償に、美奈都の剣を受け流すことが出来た。
「おおっ……!」
驚きを顔に表す美奈都。
土から火へ戻ったウィザードは、そのまま美奈都の懐に潜り込む。そのまま体を反転させ、美奈都を蹴り上げる。
「うわっ!」
両腕を交差させて防御したものの、ウィザードの蹴りがそのまま美奈都を上空へ飛ばす。
「これで終わりだ!」
ウィザードはそのまま、その指輪を入れかえる。
それは、決して人に使うことがなかった魔法。だが、彼女に対してこれを使わないのは、失礼にあたると判断した魔法。
『チョーイイネ キックストライク サイコー』
「おお……! 本気が来た……!」
空中で体を捻り、迎撃態勢を取る美奈都。
そんな彼女を見上げながら、ウィザードは足元に発生した魔法陣へ足を広げる。右足に火の魔力が集約していくのと同時にジャンプ。
一方、興奮を隠すことのない美奈都は、その写シを赤く染めていく。
それはまさに、可奈美の主力技、太阿之剣を放つときの動作とよく似ていた。
「だあああああああああああああああああっ!」
「火砕迅風撃!」
美奈都の一撃。
全力を刀身に乗せた一撃。それは、空中でキックストライクと激突し、爆発。
大きくたちこめていく煙の中。
「ぐはっ!」
変身解除したハルトが、地面に落ちる。
同時に、着地した美奈都がハルトを見下ろした。彼女の腕には、キックストライクで付けた焦げ跡が残っており、彼女に少なからずのダメージを与えていた。
「いやー、強かったね」
だが、そんなダメージを全く顧みることもなく、美奈都は笑顔を見せる。
「私の勝ち! で、いいよね?」
「それ以外の結果だったらむしろ反発していたよ」
ハルトは持ち上げかけた首を倒す。
夢の中だというのに、ずっと疲労感が抜けない。息も絶え絶えになり、意識が朦朧としてくる。
「あれ……? この夢も、終わりか……?」
「ありがとうね! 魔法使いと立ち合いするなんて初めてだったから、本当に新鮮だった!」
「そりゃよかった。満足していただけたようで」
ハルトの視界がだんだん朧げになっていく。瞼が重くなり、
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ