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ハッピークローバー
第四十六話 海を前にしてその四
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「相手は一人だけにしなさいって」
「そうよ、本当に浮気するとね」
「後で、ですね」
「そういうことって何時かばれるから」
「隠そうとしても」
「そうなるわよ」
 ばれるというのだ。
「相手の人にね、奪ってもね」
「所謂NTRですね」
「人のもの獲る人他の人はどう思うか」
「嫌いますね」
 富美子もそれはと答えた。
「やっぱり」
「フランスの王様で家臣や商人の奥さんでも平気で手を出す人いたわ」
「最低ですね」
 富美子はその話にこれ以上はないまでの軽蔑で応えた。
「もう」
「フランソワ一世って人でね」
「それでその王様もですか」
「ええ、奥さんに手を出された商人の人がわざと梅毒になって」
「うわっ、あの病気ですか」
「あの病気になってね」
 故意にというのだ。
「奥さんにうつして」
「ああ、そこから王様にですか」
「それで王様梅毒になってね」
 当時助からなかったこの病気にだ。
「死んだのよ」
「そうなったんですね」
「人の相手に手を出したらね」
「そうなるものですね」
「そうよ、人は見てるし怨みも買うし」
「結果は碌なものじゃないですね」
「そうよ、だからね」
 それでというのだ。
「絶対によ」
「相手がいるなら浮気はしないで」
「相手がいる人はね」
「浮気をしないことですね」
「絶対にね」
「だからですね」 
 かな恵はここでこう言った。
「伊藤博文さんは」
「そこは気をつけてね」
「遊んでいたんですか」
「そうよ、病気のこともでしょうし」
「何よりも揉めない為に」
「幾ら権勢があってもよ」
 まさに明治日本の第一人者であった、初代総理大臣であり枢密院議長であり元老でもありまさに誰よりも権勢を持っていた。
「揉めない様にね」
「配慮していたんですね」
「だから無名の芸者さんとだけね」
 わざわざそうした人を選んでだ。
「遊んでいたのよ」
「無名のですか」
「誰の愛人さんでもない様な」
 そうしたというのだ。
「人とだけね」
「遊んでいたんですね」
「女好きで有名だけれど」
 このことは今も言われている程だ。
「それでもよ」
「配慮する人だったんですね」
「さっき言ったフランスの王様と違うでしょ」
「牽制を使って誰ともじゃなくて」
「相手をちゃんと選んでね」
「遊ぶ人だったんですね」
「だから怨まれなかったのよ」
 当然揉めることもなかった。
「あの人はね」
「そうだったんですか」
「逆に人たらしで有名で」
 女性だけをそうするのではなかったのだ。
「いい人材と見ればスカウトする」
「そんな人だったんですか」
「それで周りに有能な人一杯いたのよ」
「男の人はそうだったんですね」
「女好きで有名だったけれど」
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