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あれよあれ
第一章

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                あれよあれ
 根室寿はこの時勝ち誇っていた、そのうえで妹の千佳に対してその顔でこんなことを言うのだった。
「来年の優勝はもらったな」
「それ毎年言ってるけれどね」 
 妹の反応は塩そのものだった。
「シーズンオフには」
「事実だからな」
「予言って言いたいのね」
「僕は予言なんて信じないぞ」
 兄は妹にこう返した。
「絶対にな」
「そうだったの」
「あれは外れるものなんだ」
 極めて理性的に話した。
「ノストラダムスって人いたな」
「確か一九九九年に人類が滅亡するって言ってた人ね」
「ああ、そうだったけれどな」 
 それでもというのだ。
「けれどな」
「今も人類残ってるしね」
「他にも色々予言したけれどな」 
 ノストラダムスはというのだ。
「かなり外れてるんだ」
「そうなのね」
「予言の本なんて昔のを読むと凄いんだ」
 妹にさらに話した。
「大抵の予言が外れてるんだ」
「そうなのね」
「だからな」
 それ故にというのだ。
「僕は予言は信じないんだ」
「外れるものだから」
「そうなんだ、だから予言はしないよ」
 信じていないからだというのだ。
「全く」
「じゃあ毎年そう言うのは何よ」
 兄にあらためてクールに問うた。
「一体」
「戦力を見てだよ」 
 月刊タイガースそれにデイリーという彼の人生においての最大の愛読紙達を手にして言い切ってみせた。
「阪神の」
「それでなの」
「常に十二球団最強の投手陣に」
 それに加えてというのだ。
「成長する野手陣、しかもな」
「監督さんもコーチの人達も」
「凄いからな」
 だからだというのだ。
「もうな」
「優勝なのね」
「来年はな」
「やれやれね、そう言ったらよ」 
 千佳は冷めた目で答えた。
「カープこそがよ」
「優勝か」
「決まってるでしょ」
 千佳は千佳で月刊カープを手にして言う。
「それは」
「カープも悪くないけれどな」
「精々二位っていうのね」
「優勝は決まっているからな」
「阪神だっていうのね」
「だからな」
 それ故にというのだ。
「もうな」
「カープは二位止まりね」
「例え阪神と優勝を争っても」 
 そうしてもというのだ。
「勝つのはな」
「阪神なのね」
「絶対にな」 
 こう言うのだった。
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