第四章
[8]前話
「そしてだ」
「そういったものを備えてから」
「結婚するのだ、それまでの間にだ」
またマヤンサリを見て言いました。
「そなたも花嫁修業をしてだ」
「そうしてですか」
「この者の妻になる心構えもせよ」
「わかりました」
お父様でもある王様に言われては仕方ありませんでした、そしてです。
樽腹は長老から色々なことを教わりマヤンサリは花嫁修業に入り結婚する心構えもしていきました。
そしてです、数年後。
長老に連れられて王宮に戻った樽腹を見ますと。
「見事なものだな」
「そうでしょうか」
「うむ、あの丸々と太った子供がだ」
王様は今の樽腹を見て言いました、見ればです。
長身で逞しい身体になり顔立ちも凛々しいです、しかもどんな学問のことも世の中のことを聞いてもです。
淀みなく答えます、それで王様は言いました。
「そなたはもう樽腹ではないな」
「では何でしょうか」
「その有様はよい香りの様だ」
樽腹に笑顔で言いました。
「だからそれを意味するラデン=ガンダラサと名付けよう」
「そうして下さいますか」
「そしてだ」
今度は以前よりもさらにに美しくなったマヤンサリに言いました。
「そなたもだ」
「はい、これよりですね」
「この者の妻となりな」
そうしてというのです。
「国の主となるのだ」
「私がですか」
「そなたはそうなる運命だったのだ」
「魚のことから」
「そうだ」
まさにというのです。
「ではその運命を受け入れてな」
「樽腹いえラデン=ガンダラサを夫とし」
「共に国を治めるのだ、いいな」
「わかりました」
マヤンサリは素直なお顔で頷いてでした。
ラデン=ガンダラサと結婚しました、そうして二人でジャワ島を平和に治めていきました。ジャワ島に伝わる古いお話です。
樽腹 完
2022・8・14
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