第二章
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「これは」
「私ドリアン好きだから」
マヤンサリはこうも言いました。
「だからね」
「このドリアンを食べたいんですか」
「頂戴」
今度はありのまま言いました。
「そうしてくれるかしら」
「えっ、それは」
そう言われてです、樽腹は。
あからさまに嫌な顔になってマヤンサリにこれまでのことを言いました。
「ですから」
「そのドリアンはなの」
「誰にもあげたくないです」
「それで貴方が食べるのね」
「そうします」
強い声での返事でした。
「これからお家に帰って」
「何よ、代わりのものあげるわよ」
「お魚からずっとなんですよ」
樽腹も引き下がりません。
「ですから」
「けれど重いわね」
マヤンサリはここで閃きました、それです。
思うところを隠してです、こう言いました。
「そういえば貴方のお父さんが馬小屋で働いていたわ」
「お父さんがですか」
「だからお手伝いに行ったらどうかしら」
「はい、そうします」
親孝行な樽腹はすぐに答えました。
「今から」
「じゃあドリアンは邪魔ね」
「そうですね」
「私が預かるわ」
「そう言って食べません?」
「食べないわよ」
「約束ですよ」
「ええ、約束するわ」
こう答えてでした。
マヤンサリは樽腹からドリアンを受け取って彼が王宮の馬小屋に行っている間にドリアンをすっかり平らげてしまいました。
そして代わりのドリアンを用意しましたが。
お父さんはいなかったですがそれでも馬小屋でお仕事を頼まれて一仕事終えてから王宮の前まで来るとでした。
マヤンサリにドリアンを差し出されましたが樽腹はすぐに気付きました。
「これ僕のドリアンじゃないですね」
「えっ、わかったの」
「わかります、とても大きなドリアンですから」
それでというのです。
「わからない筈がないです」
「鋭いわね」
「あの、僕のドリアンを食べましたから」
樽腹は王女に怒って言いました。
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