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女神の嫉妬 
第一章

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                女神の嫉妬 
 この時女神のアグディスティスは恋をしていました。奇麗な波立つ金髪と神秘的な光を放つ銀色の目に紅の唇と面長の整たお顔に奇麗な白いお肌を持つ女神様です。
 女神は自分の娘である川のニンフのナナに言いました。
「とても奇麗な子を見付けたのよ」
「そうなのですか」
「ええ、もう朝も夜もよ」
 それこそいつもというのです。
「その子のことを想っているの」
「あの、けれどお母様は」
 ナナは自分にとてもよく似た母神に言いました。
「お父様がおられて」
「浮気はっていうのね」
「よくないです」
「まあ女神も人間も浮気はするわ」
「それはそうですが」
「けれど私はなのね」
「私が許しません」
 怒ってです、ナナは母神にこうも言いました。
「絶対に」
「貴女は厳しいわね」
「母親を止めるのも娘の務めです」
 だからだというのです。
「それは決してです」
「許さないのね」
「関係を持たないならいいですが」
「それはなのね」
「絶対に。ですが想われるのは」
 このこと自体はといいますと。
「気持ちまでどうにも出来ないので」
「いいのね」
「それは仕方ありません、想われるだけなら」
「それならなのね」
「いいです」
 まだ、というのです。
「それなら」
「ではそれに留めるわ」
「はい、では私も家庭がありますので」
「ご主人と子供がいるわね」
「息子が。一度うちに来られて下さい」
 ナナは母神にこのことも言いました。
「それでです」
「娘婿と孫にね」
「会われて下さい」
「私もお婆さんになったのね」 
 アグディスティスは少し苦笑いになって言いました。
「孫がいるなんだ」
「お婆さんになったって思うからですか」
「貴女のお家に行くのはね」
「地上のですね」
「ええ、遠慮するわ」
 こんなことを言うのでした。
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