第三章
[8]前話
「私達はここにいて」
「想いをお伝えするにもね」
「どうにもね」
「しにくいわね」
「どうしようかしら」
「そうね」
妹の言葉を受けてだ、大喬は。
暫し考えた、そうしてだった。
楼閣の周りにあり楼閣の窓の隙間からだ。
その中に入っていたライチの枝に実が二つあるのを見て小喬に話した。
「これを使いましょう」
「ライチを?」
「ええ、これを使ってね」
そうしてというのだ。
「私達の想いを伝えましょう」
「あっ、ライチが二つで」
小喬はここで姉の言わんとすることを察して述べた。
「それでなのね」
「そう、私達は二人でね」
「殿方達もお二人」
「二人同士ね」
「ライチは二つで」
「そして二人が一緒になる」
「それが二人ずつで」
「二組よ、これをかけてね」
そうしてというのだ。
「お伝えしましょう」
「そうね、それじゃあ」
「早速お伝えするわ」
こう話してだった。
大喬はライチの枝を取ってだった。
そうしてその枝を実が二つ付いたままで楼閣の下に落とした、すると。
孫策も周瑜もそのライチの二つの実を見て察した。
「実が二つ、つまりだ」
「うん、これはだよ」
周瑜はその枝を拾った孫策に話した。
「私達は二人で」
「彼女達も二人だな」
「二人が一緒になり」
「それが二組」
「そう、まさにだよ」
これはというのだ。
「これは告白だ」
「私達への」
「その通りだ、ではだ」
「まさかと思うが今すぐに喬家に向かわないな」
「それはしない」
無論とだ、周瑜は笑って答えた。
「幾ら何でもな」
「やはりそうだな」
「後日あらためて人を連れしっかりとした身なりになってだ」
そのうえでというのだ。
「この家を訪れてな」
「喬家の主殿にか」
「申し出よう」
「では今はだな」
「帰ろう、二つのライチを持って帰ってな」
「受け取った、了ということだな」
「そうだ、それを返事としてな」
そうしてと言うのだ、こう孫策に話してだった。
二人でまずは帰り身なりを整え周りの者達を連れてだった。
喬家を訪れそのうえで姉妹に求婚した、そうしてだった。
孫策は大喬を、周瑜は小喬をそれぞれ妻とした。四人はそれぞれの想いを適えることが出来た。全ては二つのライチにあったことは言うまでもない。後漢の終わりの話の一つである。
姉妹のライチ 完
2022・9・12
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