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姉妹のライチ
第一章

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                姉妹のライチ
 後漢の終わり頃の話である。
 大喬と小喬というとても美しい姉妹がいた、姉妹は一家の主である父の自慢であった。
 その美しさを聞いてだった、当時妻を探していた孫策という若者が友人の周瑜に話した。
「何でも驚く程奇麗な姉妹がこの近くにいると聞いているが」
「喬さんのところの姉妹かな」
 周瑜は誰もが二度見する程の整った顔を綻ばせて端整な顔立ちの親友に応えた。
「そうかな」
「実はどの家かは私は知らないが」
「この辺りで美人の姉妹と言えばだよ」
「そちらの姉妹か」
「間違いなくね」
 周瑜は微笑んだまま答えた。
「そうに違いないよ」
「そうか、では一度だ」
 孫策は周瑜の話を聞いて言った。
「その家に行ってだ」
「そうしてだね」
「その姉妹が本当に美人かだ」
「見たいのだね」
「そのうえで妻に迎えたいが」
「いいことだね、君もそろそろ妻を迎えるべき年頃だ」
 周瑜は孫策の話を聞いてこう返した。
「では早速だ」
「その家に行くべきだね」
「そうだ、それにだ」
「それに?」
「私も行こう」
 自分もと言うのだった。
「そうしたいがいいかな」
「そうか、君もか」
「君と同じ歳じゃないか」 
 周瑜はその美麗な顔を綻ばせたまま話した。
「それなら私もだよ」
「妻を迎えるべき年頃か」
「そう考えるからね」
 それ故にというのだ。
「ここはだよ」
「二人でか」
「喬家に行こう」
「それではな」
 孫策は周瑜の言葉に頷いた、そうしてだった。
 二人でその家に周瑜の案内で行った、そして。
 そっと屋敷の楼閣にいた二人の美女を見てだ、すぐにわかって言った。
「あの二人か」
「間違いないね」
 周瑜も楼閣の美女達を見て話した。
「あれだけ奇麗ならだよ」
「噂の美人姉妹か」
「そうだよ、私もはじめて見たが」
 周瑜は楼閣の二人のうち年下とみられるやや幼さの残る方を見て言った。
「いや、これは」
「うん、かなりだね」
 孫策は年上と見られる大人びた方を見て言った。
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