第二章
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その瞬間だ、彼の眼は急に瞼が閉じられた。そうしてだった。
「どうしたのだ」
「急に瞼が閉じられてしまいました」
半右衛門は義敦に答えた、両手で両目を抑え苦しみながら答えた。
「どうしたことか」
「そなた見えていなかったな」
義敦は苦しみ半右衛門を見て事情を察して尋ねた、石の上に座して昼飯を食べていてそのまま座っていてそのうえで問うた。
「実は」
「申し訳ありません」
「見栄を張るからだ、そなたは昔から切れ者だがな」
それでもというのだ。
「見栄を張るところがあるからな」
「そのせいで、ですか」
「今も見えていなかったな」
「しかし見えていると言いました」
半右衛門は正直に答えた。
「そうでした」
「そうだな、御仏がそれで怒られたのだ」
「全ては報いですか」
「そうだ、反省するのだ」
「そうします」
「そう言っていますので」
藩主は自分が見えていて今も傍にいる仏に貌を向けて話した。
「ここはです」
「慈悲をか」
「この者をまた見える様にして下さい」
「わかっている、この度も軽く懲らしめただけのこと」
仏は義敦に微笑んで答えた。
「そうである故に見える様にしよう」
「そうしてくれますか」
「藩主殿、この言葉を唱えられよ」
微笑んだまま答えた。
「これより」
「どの言葉でしょうか」
「この方その方を守る」
まずはこう言った。
「その方この方を守ぶれ」
「その言葉を唱えればですか」
「この者の目は見える様になる」
「さすれば」
義敦も頷いてだった。
その言葉を唱えた、するとだった。
半右衛門の目が開いた、彼は目が開くとすぐに言った。
「見えまする」
「そうか、それは何よりだ」
「これはやはり」
「うむ、知ったかぶりはせずな」
「見栄を張らぬ」
「そうせぬ様にな」
義敦は半右衛門に話した。
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