第三章
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終戦を迎えた、それでこう言うのだった。
「よしこれでだ」
「アメリカに帰ってか」
「元の仕事に戻って」
「それでか」
「また球場に行くな」
そうするというのだ。
「そうするな」
「それで黒人リーグか」
「そっちの試合観るか」
「大リーグよりも」
「そうするよ、楽しいからな」
いい試合が観られるからとだ、マッケンローは戦争が終わった時に同僚達に笑顔で語った。だが帰国してだった。
その話を知ってだ、彼は驚いてその話をしたジョンソン欧州戦線から先に帰ってきていた彼に問い返した。
「大リーグでもかい」
「そうだよ、黒人の選手を受け入れる様になったんだよ」
「そうなったのか」
「軍隊でもいただろ」
「ああ、黒人の兵隊もいたな」
マッケンローはそう言われてこう答えた。
「そういえばな」
「軍もそうなったしな」
「野球もか」
「そうなったんだよ、だからな」
「これからは大リーグでもか」
「黒人の選手がいてな」
そうしてとだ、ジョンソンは話した。
「増えていくだろうな」
「そうなるか」
「何でもな」
ジョンソンは職場に戻ったばかりのマッケンローにさらに話した。
「大リーグのどのチームも黒人をどんどん受け入れてな」
「増やしていくのか」
「黒人リーグから引き抜いてな」
「待てよ、じゃあ黒人リーグどうなるんだ」
マッケンローはジョンソンに聞き返した。
「一体」
「そりゃスター選手がどんどん引き抜かれるとな」
「駄目になるか」
「もう黒人選手の活躍はな」
ジョンソンはマッケンローに答えた。
「大リーグでだよ」
「観ることになるか」
「そうなるだろうな」
「黒人選手が大リーグでプレイするか」
「いいことだろ」
「そのこと自体はな、俺は別にな」
マッケンローは話した。
「黒人がどうとかな」
「そんな考えないな」
「差別ってやつも好きじゃない」
「そうだよな」
「名前見てもわかるだろ」
マッケンローはジョンソンに真剣な顔で言った。
「俺はアイルランド系でな」
「ご先祖がジャガイモ飢饉でアメリカに来たか」
「それでワスプに色々やられてきたってな」
「聞いてるんだな」
「ああ、俺の先祖はな」
「だから差別は好きじゃないか」
「それに黒人選手のプレイは実際にだよ」
マッケンローはさらに言った。
「いいんだよ」
「そうしたプレイを見せてくれる選手が多いか」
「ああ」
実際にというのだ。
「それこそ白人選手に負けない位にな」
「いいプレイなんだな」
「それで球場で黒人と普通に話してるしな」
彼等の中に入ってというのだ。
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