第三章
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そこから京都の街に夜空を見て言った。
「今日は満月だから」
「大きいわね、今日のお月様」
「この世のものでないみたいね」
「あのお月様の下でよ」
藍衣は月を見て喜ぶシルヴィアに自分も見ながら話した。
「牛若丸さんもよ」
「源義経さんね」
「橋の上で弁慶さんと勝負をしたのよ」
「今宵千本目って」
「そうよ、だからね」
「あの乙k氏様は」
「京都では特別なものなのよ」
「かぐや姫もかしら」
「そうよ、和歌にも詠われてきてるしね」
藍衣はシルヴィアに話した、そして。
彼女を見たがここでだった。
満月を背にその光を浴びて照らされている白い服を着て金髪をたたえている彼女を見た、その彼女に思わず見惚れて。
そうしてだ、こう言ったのだった。
「今は天使もいるわね」
「天使って?」
「キリスト教のね」
「京都にも教会あるけれど」
それでもとだ、シルヴィアは藍衣の言葉に首を傾げさせた。
「別にね」
「ここでは関係ないっていうのね」
「そうじゃないの?七夕でね」
季節はそれでというのだ。
「お月様だから」
「牛若丸でかぐや姫で」
「和歌でね。天使はいないわよ」
「今見たのよ」
藍衣はわかっていないシルヴィアに話した。
「私はね」
「そうよ、京都に天使もいいものね」
藍衣は笑ってこうも言った。
「今そのことがわかったわ」
「何かわからないけれどそうなのよ」
「そうよ、あとね」
「あと?」
「若し私が男の子だったら」
今も月明かりに照らされてこの世ではない様なものを見せるシルヴィアをその目に映しつつ話した。
「シルヴィア好きになっていたわ」
「今はそうじゃないの」
「今も好きだけれど別の好きよ」
「別っていうと」
「わからないならいいわ、じゃあ暫くここを歩いていきましょう」
「ここの夜景とお月様を楽しむのね」
「そして天使も見てね」
わからないままのシルヴィアに話した、そうしてだった。
二人で共に歩いていった、梅雨が明けて七夕を迎えようとしている満月に照らされた夜の京都の川辺を。
そしてだ、暫くしてだった。
シルヴィアはあの時に藍衣に言われた言葉の意味を理解した、そうして顔を真っ赤にしてそのうえで彼女に言った。
「私そんなに奇麗だったの」
「幻想的で天使みたいにね」
「そうだったのね」
「自分では気付かないけれどね」
それでもというのだ。
「女の子は時としてこの世のものでない位にね」
「天使みたいになのね」
「奇麗になるのよ」
「そうなのね」
「だからそれを活かして」
そうしてというのだ。
「シルヴィアもね」
「相手見付けたらいいのね」
「そうしたらいいわ」
笑顔で言う、そしてだった。
七夕の夜は満月ではな
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