第一章
[2]次話
月光天使
この時日本の京都はずっと雨だった、その為イギリスから留学しているシルヴィア=クローゼットは浮かない顔だった。
その顔で通っている大学の講堂の窓から雨を見て言った。
「日本は雨ばかりね」
「それイギリス人が言う?」
同じ学部に通う永野藍衣が突っ込みを入れた、黒髪をショートにしていて垂れ目で左目の付け根に黒子がある。
「あんたが」
「いや、イギリスもそうだけれど」
シルヴィアはその見事なロングのブロンドとライトブルーの澄んだ大きな瞳、白い雪の様な肌と高めの鼻を持つ顔で言った、背は一六〇程で藍衣と同じ位の大きさだがスタイルはすらりとしていて胸の大きな藍衣とはそこが違う。白いワンピースが青いジーンズと緑のティーシャツの藍衣とは対象的である。
「日本もってね」
「思ってなの」
「今言ったのよ」
「そうなのね」
「実際日本雨多いでしょ」
「多いわよ」
藍衣もこのこと自体は否定しなかった。
「伊達に温暖湿潤気候じゃないわよ」
「そうでしょ」
「この京都もね」
「藍衣ずっとここで住んでるのよね」
「ええ、梅雨はずっとこうでね」
飴が多くというのだ。
「それで夏は暑くてね」
「冬は寒いわね」
「そうした街よ」
「イギリスと全然違うわね」
「あんたイギリスのコーンウォールだったわね」
「産まれはね、そこと比べても」
シルヴィアはどうにもという顔で答えた。
「京都雨多いわ」
「イギリス並なのね」
「そうよ、今度晴れるのは何時かしら」
「止まない雨はないわよ」
藍衣ははっきりと言い切った。
「終わらない悪夢はなくてね」
「止まない雨もないのね」
「だからこの雨もね」
「終わるのね」
「そうなるわ、その時にね」
雨が終わったその時にと言うのだった。
「晴れを見ればいいのよ」
「その時まで待つしかないってことね」
「今はね、今の季節夜空は奇麗だから」
「そういえばもうすぐで七夕ね」
「日本のね」
「イギリスにはないからね」
七夕はとだ、シルヴィアは話した。講義がはじまる前に窓の向こうで降り続ける雨を見つつそうして話す。
「七夕は」
「そうよね、そっちは」
「だからあれ面白くて仕方ないわ」
七夕がというのだ。
「織姫と彦星のお話も笹に短冊飾るのも」
「クリスマスみたいかしら」
「近いわね、日本ってクリスマスが二つあるみたいなものね」
藍衣に笑って話した。
「いいわね、それって」
「そう言ってくれるのね」
「ええ、それで七夕の頃には梅雨も終わるかしら」
「大体ね」
「じゃあ七夕を待つわ」
その時に梅雨が終わることもとだ、こう言ってだった。
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