第一章
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金色孔雀
中国の黄岩の話である。
安史の乱が終わり国も落ち着いてきた頃にここに李虎という者がいた、彼は樵をしていたが。
彼が山に入って木を切っていた時に息子の李豹に言われた。二人共色黒で痩せていて目が大きく背は高い。
「父ちゃん、金色の孔雀がいるよ」
「金色の?」
「ほら、あそこに」
自分達のいる場所の傍を指差して言った。
「いるよ」
「本当だな」
李虎はそちらを見て頷いた。
「いるな」
「孔雀は奇麗だけれど」
「金色の孔雀なんてな」
「いないよね」
「わしもはじめて見た」
李虎はその金色の孔雀を見て述べた。
「あんな孔雀はな」
「そうなんだ」
「ああ、しかし動きが悪いな」
見ればそうだった。
「足を怪我しているみたいだな」
「そうだね」
「縁起のいい鳥だしな」
孔雀はというのだ。
「金色の孔雀なんて珍しいしな、だからな」
「助けるんだ」
「家に連れて帰ってな」
そうしてというのだ。
「手当てをしてやるか」
「そうするんだ」
「ああ、そうしような」
こう話してだった。
李虎は息子と共に孔雀のところに行った、そうして孔雀を捕まえようとしたがここで孔雀が言ってきた。
「私を助けてくれるのですか」
「お前さん喋られるのか」
「はい」
孔雀は李虎に答えた。
「実は」
「金色の孔雀あんて珍しいと思ったがな」
「実は」
「そうか、それでお前さん足を怪我しているな」
「左様です」
「うちに来るか?手当てをしてやるぞ」
「そうしてくれますか」
「ああ、だからうちに来るかい?」
「そう言って頂けるなら」
それならとだ、孔雀も李虎に答えた。そうしてだった。
李虎は孔雀を抱きかかえ息子と共に家に帰った、そのうえで妻に事情を話すと妻もそれならと頷いてだった。
手当をした、そうして元気になるまで家に置いたが。
傷が癒えて元気になった時にだ、孔雀は李虎に話した。
「傷を治してくれたお礼がしたいですが」
「お礼をかい」
「はい、これです」
李虎に金色の種を出して話した。
「これをお庭に植えて下さい」
「そうしたらいいのか」
「木になってです」
その種がというのだ。
「そしてそこから白い花が咲いて実が実ります」
「その実は食えるのか」
「はい」
その通りだというのだ。
「それがとても美味しいので」
「だからか」
「召し上がって下さい」
「そうか、それじゃあな」
李虎も頷いた、そうしてだった。
空を飛んで飛び去る孔雀を一家で見送ってから家の庭の菜園に種を埋めた。そうすると暫くしてだった。
芽が出てだ、そのうえで。
孔雀の言う通りに木になり白い花が咲いてだった。
実が実った
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