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星河の覇皇
第八十二部第五章 撤退する者達の焦りその三十五
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「信仰はなく」
「神の代理人でありながら」
「その時点でおかしいですね」
「まさにエウロパ的ですね」
「その辺りは」
「はい、そして聖職者でありつつ」
 その最高位である教皇だがというのだ。
「権勢だけでなく富貴と美女を求めていました」
「それも常に」
「そんな教皇でしたし」
「この教皇にも同情出来ないですね」
「どうにも」
「実はローマ教皇には悪名高い人物も多いですが」
 これこそがバチカンの腐敗の象徴だとも言われている。
「この教皇もです」
「そのうちの一人でしたね」
「ボニファティウス八世は」
「前任者を陰謀で引退させてその後監禁していますし」
「実に悪辣な教皇でしたね」
「政治家としてもかなり」
「こうした人物だったので連合では同情されていませんが」
 こうしたバチカンの悪名高い教皇達も連合においてはエウロパがどれだけ悪辣であるかということの喧伝になっている。
「フランス王も無法です」
「まさにどっちもどっちです」
「そのフランス王と比べられても」
「違うと言いきれますね」
「私達はです」
 あくまで、というのだった。八条も。
「条約に基づいてです」
「教皇庁を移転させています」
「外交の交渉により」
「もっともそこから分裂の禁止なぞ入れていませんが」
「そうしたことは」
「発想がなかったといいますか」
 この分裂についてだ、八条はこう述べた。
「分裂してもです」
「構いませんね」
「我々としても」
「例えエウロパが彼等のバチカンを持っても」
「それで交流を遮断しても」
「それでもです」
 八条はあっさりとした口調で述べた。
「構いません」
「左様ですね」
「我々は工作員の侵入ルートを断てればいいですから」
「それが出来れば」
「そして信仰が連合にあれば」
 カトリック信者の彼等の総本山がというのだ。
「それで、です」
「一向にですね」
「構いませんね」
「カトリックが分裂しても」
「そしてどちらが正統でも」
「正統はこの場合どうとでも言えます」
 政治的にとだ、八条は述べた。
「教皇庁が移動したというのならです」
「連合ですね」
「正統はこちらですね」
「こちらにありますね」
「はい、そして長くにあたってその地にあったなら」
 これを正統とするならというのだ。
「エウロパになります」
「聖遺物もそれぞれの地にありますし」
「連合にもエウロパにも」
「エウロパにはロンギヌスの槍がありましたね」
「そして聖骸衣も」
 こうした神具の名がここで挙げられた。
「どちらも本物かわからないですが」
「特に聖骸衣は」
「あの衣にあるキリストの顔はラテン系ですし」
「十字架の顔です」
「キリストの顔は時代によって変わっていま
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