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或る皇国将校の回想録
第二部まつりごとの季節
第二十五話 陸軍軍監本部にて
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にならない衆兵を教導出来る様に陸軍から古兵を引き抜くだろう。その際に自分が将校を推薦すれば政治的行動を感知出来る。
幕僚に防諜室の息がかかった者を、そして砲兵に自分が面倒をみた士官から気の利いた者を見繕い、彼の大隊に送り込めばそれで事足りる、近衛衆兵で問題になるのは(或いは出来るのは)新城だけだろう、他は五将家の太鼓判つきの日陰者達である。
――問題は皇族としての実仁親王殿下だ。駒城との結びつきは可能な限り把握しておきたい。
「あぁ、話が随分と脱線してしまったな。本題に入ろう、君の今後の事だ」
「はい、閣下」
 豊久も姿勢を正す、政治はどの道、祖父と父が主軸となる。いまだ自分は中佐でしかない。
「当然ながら駒州鎮台に配属されることになる。そして私は君に聯隊を預ける。独立聯隊だ」
「独立聯隊ですか? 私は中佐ですが、閣下」
 ――〈皇国〉陸軍では、大隊なら兎も角、聯隊は有り得ない。ましてや独立部隊となると大型聯隊だ。大佐でも古株のものがつくべきだ。
 保胤は部下の疑問に鷹揚に肯いてぱらぱらと書類をめくり、説明を行う。
「無論、臨時配置だ。冬まで大過無く過ごせば翌年には状況次第では大佐にするつもりだ。この部隊は本来ならば実験部隊として編制が検討されていたものなので少々特殊な編制をしている、単隊での戦闘を想定し諸兵科連合で編制する、戦闘団と言う奴だ。
正式名称は独立混成第十四聯隊、駒州軍司令部直轄だ、君が北領で諸兵科連合部隊の運用に長けていると分かったから多少は無理を通させた。
基幹部隊は既に準備が整っている、がある程度は好きに弄って構わない」

「――はい、閣下。身に余る光栄です。でしが、諸兵科連合では補給や統率が煩雑になります。大隊規模なら兎も角、連隊では維持、運営が難しいのではありませんか?」
諸兵科連合は単純に便利だとは言えない。戦闘能力は飛躍的に高まるが指揮・管理・運営が煩雑化してしまうのである。砲兵の補給には手間がかかるし騎兵も馬の管理に手間がかかる。主導権を握れば強いが、緊急時に足並みが揃わないと特定の兵科の部隊が圧殺されて単隊戦闘力が瞬く間に低下してしまうことだってある。活用するためには本部・後方支援部隊の拡充が必要になる。
「その点も含めて好きにしてくれ、特に後方支援に関しては戦訓が少なすぎる。君の実感にまかせるのが一番だろう」

「後方支援と本部の編成は弄って宜しいと?」
 目を見張った青年将校に保胤は応用に頷いて見せた。
「基幹部隊の編成はすでに大隊単位では完了しているが、その他の部隊に関して可能な限り君の意見を反映させようと思う。
だから定数すらも決まっておらず、編制の申請も出していない」

「――それはなんとも豪勢な話ですね」

「君個人には損な役回りだったからな。この位は面倒を見なければ
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