第二章
[8]前話
「そうしろ、いいな」
「そうしないと駄目ですか」
「そうだよ、少なくともこの会社ではな」
こう言って万治は実際にだった。
昼休み会社の近くの食堂で食べて会社に帰ると自分の席でアイマスクまでして昼寝をした、そして定時にだった。
帰った、見れば殆どの社員もそうしていた。
それで千賀もそうする様にしたが万治はその彼に居酒屋で話した。
「いいか、ずっと働いてるとな」
「ブラック企業みたいにですね」
「すぐ潰れるんだよ」
「そういえば辞める人も多いですね」
「そうだよ、俺だってな」
万治は自分のことも話した。
「大学の頃変な居酒屋でバイトしてな」
「居酒屋ですか」
「そこはチェーン店でブラックでな」
「ああ、そうしたところもありますね」
「そうだろ、店長さんなんかいつも働いていてな」
万治はジョッキのビールを飲みつつ焼き鳥を食べる千賀に話した。
「ガリガリにやつれてたんだよ」
「過労ですか」
「どう見てもな、社員の人は皆働きづめだったんだよ」
「本当にブラックだったんですね」
「俺が働いてる時にネットで炎上してな」
「ブラックだって」
「俺もそれを機に別の店に移ったけどな」
それでもというのだ。
「そういうとこを見てきたからな」
「俺にも言いますか」
「そうだよ、酷使なんかしたり無理をしたらな」
それこそというもだ。
「すぐに潰れるんだよ、お前も長く働きたいだろ」
「ええ、それは」
千賀もビールを飲みつつ応えた。
「俺だって」
「そうだろ、だったらな」
「無理はしないことですか」
「俺も上の人達も酷使なんてしないしな」
これもないというのだ。
「だからな」
「休む時はちゃんと休んで」
「そしてな」
そのうえでというのだ。
「やっていこうな」
「わかりました、そうしていきます」
「組合も言うしな、何の為の組合か」
労働組合の話もした。
「言うまでもないだろ」
「そうですね、それは」
「だからな、ちゃんとやっていけよ」
「わかりました」
千賀は万治の言葉に頷いた、そうしてだった。
休む時はしっかり休んで働く様にした、その結果彼は定年まで無事に働くことが出来て家庭も持つことが出来た、万治もそうであり二人共幸せな人生を過ごせた。
酷使はしない 完
2022・12・26
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