入れ替わり
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体でやるから可愛いのであって、俺の体がやってるのを見てもイライラするだけだな」
「酷いっ! あとそれ、自分に向かって言ってるよ!」
「まあ……今のハルトは可奈美ちゃんだからね。……自分で何言ってるのか分かんなくなってきた」
可奈美は顔を抑えた。
「とにかく、今の俺たちは、他のみんなには知られない方がいいよ」
「何で? 友奈ちゃんたちに協力してもらおうよ」
「友奈ちゃんや真司たちに伝えると、なんかややこしいことになりそうだしなあ。ココアちゃんたちに伝えると、俺たちが戦ってることまで説明しなくちゃいけなくなりそうだから、ここは絶対だよ」
「ココアちゃんたちの方は分かってるけど……」
ハルトがそれ以上言うよりも先に、再び店の呼び鈴が鳴った。
「いらっしゃいませ」
体が入れ替わっているからといって、仕事を無下にはできない。
可奈美は振り向いて、手慣れた挨拶をする。
だが、店に入って来たのは客ではなかった。
高校生と中学生の少女たち。姉妹のように体を密着させた二人は、それぞれ学校の制服を着用しながら入って来た。
「可奈美ちゃん! ハルトさん! ただいま!」
「ただいま戻りました」
それは、今さっき二人の会話に出てきた人物たちだった。
保登心愛と香風智乃。それぞれこのラビットハウスで、ハルト、可奈美よりも長く生活しており、チノに至っては、ここの店主の娘でもある。
「ココアちゃんにチノちゃん。お帰りなさい!」
「おおっ! ハルトさん、なんか今日は明るいね!」
ハルトの体の中に可奈美の精神が入っていることなどいざ知らないであろうココアは、そのままハルトとハイタッチ。
「それに、ただいま! 可奈美ちゃん!」
「うわっ!」
ココアは笑顔で、可奈美へ飛びつく。
先ほどとは真逆に、可奈美の体にハルトの精神が宿っていることなど、当然ココアは認知していない。
「そ、そういえば可奈美ちゃん、しょっちゅうココアちゃんに抱き着かれてたっけ……?」
可奈美はそう言いながら、ココアを引き離す。
「えっと……今日は早いね。始業式なんだっけ?」
「そうなの! 今日から私とチノちゃんは進級したんだよ!」
「あ、そうだよね……そうだよね!」
ハルトは一瞬顔に影が入るが、すぐに元気にココアの隣に並ぶ。
「進級おめでとう! ココアちゃんは二年生になったんだよね」
「そうなの! チノちゃんは中学三年生だから、来年からは一緒に通えるね!」
可奈美は、そんな二人を見守りながら、少しずつ後ずさりをしていく。
だが。
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