暁 〜小説投稿サイト〜
DOREAM BASEBALL 〜夢見る乙女の物語〜 
打てない理由
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ートと二重のトラップを敷いて片方に気付かれてももう片方で対処する。

(こんなに策を講じられたら確かに対処しきれずに負けてしまうのも無理はない。これがあの人をもっとも苦しめたチームの指揮官兼主将……)

学生でありながら監督が野球素人だったこともあり実質的な指揮権も保有していたカミューニさん。そんな彼の頭の中はどれだけの作戦があるのか想像もできない。もしかしたらまだ何か解明できていない罠があるのではないかとすら思えてしまう。

「莉愛、さっきは悪かった。でもおかげでまだ戦える可能性が出てきたぞ」

先程のお怒りモードとは一転して頭を撫でられる。監督もみんなもさっきまでの表情と違い戦う意志が見て取れる。

「あと二回で3点……取り返すぞ」
「「「「「おう!!」」」」」
















カミューニside

「どうやらバレたみたいだな、最後の砦も」
「えぇ!?じゃあどうするんですか!?」

ダメ押しになりかねない失点をしたにも関わらず輪が解けた明宝ベンチは妙に活気付いている。空元気って感じじゃない、何か突破口が見えた結果消えかけた火が灯ってしまったような感じだ。

「まぁ、それでも問題ないだろ」

トリックがバレれば対策は打たれて当然。しかし俺たちがやっているのはあくまで打ち取る確率を上げるための攻め。たまたま筋力に乏しい女子野球だから無双しているが、確実に打ち取れるものじゃない。

(そもそも打者は三割打てれば十分なんだ。大丈夫だろ、たぶんな)

一抹の不安はあるが残す守備はあと2回。ここからは是が非でも守り切る野球をするだけだろ。

「この回が勝負だな、頼むぞ」

4番から始まる明宝の攻撃。ここをもし三人で凌ぐことができれば……俺たちの勝ちだ!!


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