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機動6課副部隊長の憂鬱な日々
第22話:反省は大事ですよ
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が強く,
 突破は不可能と判断した分隊長は,洞窟入口までの撤退を開始する。
 だがここでもこの分隊長は指揮官への報告はしてない。
 敵の攻勢が強く,自分自身が戦闘で手一杯だったからだと記録されてる」

俺はフォワード一同を一瞥すると先を続けた。

「撤退した分隊は無事洞窟外に脱出し,撤退を成功させた。
 だがな,もう一つの分隊は突入地点で戦闘を継続してたんだよ。
 もう一つの分隊がとっくに撤退したとも知らずにな。
 さらに悪いことに,撤退した側の分隊が最初に発見した
 事前情報に無かった分岐が,戦闘を継続している分隊の後背につながってた」
 
俺は映像を最後まで動かした。

「結局,戦闘を継続した側の分隊は予想していなかった挟撃により全滅。
 撤退した側の分隊は辛くも逃げ帰ったが,作戦は失敗。
 ちなみに犠牲者は10名。いずれも優秀な魔導師だ。
 あと,指揮官は責任を問われて減俸処分を受けた」

俺はそこまで話すと室内を見回した。
フォワード陣も隊長陣も息を飲んでいた。

「どうだ?これが作戦中の連絡をキチンとしていればどうなった?
 最初に情報にない分岐を発見したことを報告していれば,
 指揮官は偵察のやり直しと作戦の変更を考えただろうし,
 撤退するときに連絡していれば,もう一方も同時に撤退して
 犠牲になることは無かっただろうな」

俺が,もう一度一同を見回すと,ティアナとキャロがうなだれていた。

「これで俺の言ったことの意味がわかったよな?」

フォワード陣は大きく頷いた。

「よし。じゃあもういいぞ。時間を取らせて悪かったな」



フォワード陣が出ていったあとも,隊長陣は残っていた。

「ゲオルグ。一つ聞いていいか」

シグナムが聞いてきた。

「この撤退した側の分隊長はその後どうなったのだ?」

「コイツは士官学校出のエリートでね。特に処分はされなかったらしい。
 今でも局員をやってるよ。ちなみに,お前らもよく知ってる奴だよ」

「誰だ?」

「ゲオルグ・シュミット。現在3等陸佐。
 本局遺失物管理部機動6課の副部隊長をやってるらしいぞ」

「そうだったのか・・・。すまない」

「何が?俺はこの経験があったからこそここまでやって来れたと思ってるぜ。
 ま,犠牲になった10人には悪いけどな」

「お前はなぜそう偽悪的なことを言う?」

「別に,偽悪的とは思ってないけどね。今更過去の失敗を悔いても
 しょうがないしな。ただ,俺のせいで死ぬことになった連中のことは
 死ぬまで忘れないし,奴らの犠牲を無駄にしないためにも,
 俺だけじゃなく,できるだけ多くの後輩に俺と同じ失敗を
 実戦で犯させないようにしたいと思ってるだ
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