第一話 開幕その十八
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「何かをしたくて」
「寂しいってマイナスだからね」
「そちらに向かってしまい」
「それでだよ」
「悪事を犯しますね」
「私達と会う前の星ちゃんもそうだったのかなってね」
彼もというのだ。
「思ったりもするよ」
「あの人もですか」
「うん、ただあの人獣医さんよね」
「表のお仕事は」
「死ぬ生きものは寿命のものばかりだったんだよ」
北都はこのことも話した。
「もう長くない生きものにだけね」
「呪いが向かう様にですか」
「していたからね」
「痛みがわからないというのは」
「どうだろうね、けれど今の星ちゃん悪いことするかな」
「どうでしょうか、やがてです」
「他の地の龍の人達とだよね」
彼等と、というのだ。
「一緒になるよね」
「合流します」
「そうなったらね」
その時はというのだ。
「星ちゃん寂しくなくなるかな」
「そうなるかな」
「なったらいいね、じゃあ今日はこれでね」
「うん、またね」
「お話しようね」
北都は両手を後ろにやってだった。
牙暁に笑顔で応えてそうして姿を消した、牙暁はその彼女を微笑んで見送った。彼は寂しさを感じていなかった。
白い着物と白く長い髪の毛、白い肌を持つ小柄な少女を思わせる姿の女がだった。
陰陽道の陣の中にいてだ、茶色の短い髪の毛の幼さが残るが精悍で生真面目な感じの黒い詰襟の少年に話した。
「間もなくです」
「はい、天の龍がです」
「ここに集いますか」
「そうなります」
神社の中を思わせるその中で話した。
「これより、ただ」
「それは六人までで」
「最後の一人はです」
「彼はですね」
「わかりません」
こう言うのだった。
「残念ですが」
「征一狼さん達は決まっていて」
「そうです、最後の一人だけは」
どうしてもというのだ。
「わかりません、ですが」
「それでもですか」
「その最後の一人となるかも知れない」
「その人はですか」
「近くです」
「来るのですね」
「この東京に」
まさにというのだ。
「そうなります」
「そうですか、それでは」
「砕軌玳透さん」
少年の名を呼んで話した。
「まずは貴方がです」
「天の龍の最後の一人となる」
「彼のところにです」
「行ってですね」
「迎えに行って下さい」
「わかりました」
玳透は女に畏まって応えた。
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