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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
第六十二話 混乱の始まり
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ァイク公がお呼びだ」
参謀長の真剣な声色に、その場に居た者達の動きが止まる。
「何かあったのか、参謀長」
「いえ、少官はまだ何も知らされておりませんが、伯はいつでも退席出来るようにしておけ、と仰っておいででした」
参謀長とアントン中将の会話はそれだけで何かあったと思わせるに充分な物だった。
「了解した。何かあったらすぐ知らせてくれ…となるとタダ食いタダ酒も今のうち、という訳か」
「どこぞの貴族令嬢と仲良くなるいい機会だったのに」
「…全く昔と変わりませんな」
「本当に。困ったものです」
…彼等なら、何があっても大丈夫だろう…。


5月23日17:30
ブラウンシュヴァイク公爵邸、来賓客間、
ラインハルト・フォン・ミューゼル

 参謀長の後に着いて入った来賓客間にはブラウンシュヴァイク公とヒルデスハイム伯が座って我々を待っていた。彼等の背後には三人の軍人が控えている。伯に促され俺とキルヒアイスが着席すると、ブラウンシュヴァイク公の目配せで一人の軍人が動き出した。あわてて敬礼した。
「お初にお目にかかる、小官はアンスバッハ准将と申します。あちらはシュトライト大佐、フェルナー大尉…自己紹介はさておき、こちらを見て頂きたい」
ブラウンシュヴァイク公の腹臣達なのだろう、アンスバッハと名乗った男は懐から宛名のない一通の封書を取り出した。会釈をして封書を貰い、中の書簡を拡げる……これは…。
「宮中のG夫人に対しB夫人が害意を抱くなり。心せられよ。これは…」
俺が声に出して読み上げた内容にキルヒアイスも身を硬くしている。
「今朝確認したものだ。貴官の邸宅にも同じ物が届いていると思うが…確認していないか?」
「いえ、艦隊の出撃準備でここ数日帰宅しておりませんので確認は…キルヒアイス、頼めるか?」
立ち上がろうとするキルヒアイスをアンスバッハ准将が制止した。
「それには及ばない、こちらの手の者を行かせよう…大佐、この書簡の意味は分かるかな?」
意味は分かる。分かるがこれは…事実なら許せん、許されてなるものか!
「…グリューネワルト伯爵夫人…小官の姉上にB夫人…ベーネミュンデ侯爵夫人が何事か企んでいる…という事でしょうか」
「で、ありましょうか、公爵閣下」
アンスバッハ准将の言葉に、瞑目していたブラウンシュヴァイク公が口を開いた。
「だな。ミューゼル大佐、卿はどうすべきだと思うかな」
公爵と話すのはこれが初めてだが、どうすべきかだと?決まっている、姉上を守らねばならん!
「はっ、姉…ではない、グリューネワルト伯爵夫人を守護し奉りベーネミュンデ侯爵夫人を弾劾し…」
「何を言っている。侯爵夫人とて仮にも皇帝陛下の寵姫、その方を弾劾などと…確たる証拠も無く出来る訳が無かろう」
「ではどうせよと仰いますか」
「我が家に
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