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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
第六十二話 混乱の始まり
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はそれぞれ、

オットー・アントン・フォン・ノルトハイム
ハインリヒ・ベルタ・フォン・ノルトハイム

と名乗りまで変えてしまった。

 「いえ、彼等の様な人材が眠ったままでは勿体ないですから、アントン閣下」
「そうだな。彼等を使えば俺達は楽が出来るというものだ。そうではないか、ベルタよ」
「…兄さんは楽する事ばかり考え過ぎなんだよ」
ベルタ…ハインリヒの反論にナッサウ少将とゾンダーブルグ少将が苦笑していた。この二人はノルトハイム兄弟の幼なじみでもあり士官学校時代の同期生だという。
「昔からお二人は変わりませんな、そうは思わんか」
「ゾンダーブルグの言う通りですよ。まあ、だからこそうちの艦隊は上手くいっているのでしょうが」
この二人も今回推薦した者達には一歩及ばないとしても優秀な二人だった。艦隊司令官としては未知数だが、分艦隊司令としては非凡な物を持っている。そしてうちの艦隊は上手くいっている、という言葉も決して嘘や世辞ではなかった。他の貴族の艦隊は言葉に尽くせない程ひどい状況らしい。上級指揮官、まあ貴族の事だが、口出しが酷い上に軍事常識がないものだから、下級指揮官達は腐る一方だという。上申や助言もままならない、などいう日常が繰り返されている、との事だった。
「こう言ってはなんだが、伯父貴が間違った方にやる気を出してくれなくてよかったよ。もしそうだったら卿やシューマッハがどれ程補佐しても今頃はヴァルハラでワルキューレに顎でこき使われている頃だろうさ」
「全くだよ。ところでミューゼル大佐、卿の推薦した者達は、卿の知り合いなのかい?」
「いえ、若年の小官が言うのも何ですが、能力に比して場所を得られていない…と感じた者達です。皆知らぬ者ばかりです」
「そうか。となると掛け値無しの一級品ばかりが揃っている訳だね、縁故人事じゃない訳だし。兄さん、こりゃうちの艦隊が帝国最強の艦隊になる日も近いよ」
「となると、益々楽が出来るな。座っているだけでいい」
アントンとベルタの掛け合いに皆が笑う。俺とキルヒアイスも釣られて吹き出してしまった。
ウォルフガング・ミッターマイヤー、オスカー・フォン・ロイエンタール、ウルリッヒ・ケスラー、エルンスト・メックリンガー、コルネリアス・ルッツ、アウグスト・ザムエル・ワーレン、フリッツ・ヨーゼフ・ビッテンフェルト、カール・グスタフ・ケンプ…。皆優秀な者達だ。能力に比して場所を得ていない…コネも無く、平民であったり下級貴族であったり、と多分それが理由だろう。何故何の縁故もないヒルデスハイム艦隊に、と今は思うだろうが、彼等はそのうち俺に感謝するだろう。そしていずれは…。

 一瞬の夢想から俺を現実に引き戻したのはシューマッハ参謀長の俺とキルヒアイスを呼ぶ声だった。
「二人とも来てくれ。伯とブラウンシュヴ
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